■三角関数のベキ乗の逆数和公式
V(n,k)=Σ1/sin^2n(iπ/k) (i=1~k-1)
とすると,特にV(1,k)=Σ1/sin^2(iπ/k)=(k^2-1)/3
Σ(1,∞)V(n,k)sin^2nx=1-ktanxcotkx
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[1]カロジェロ-サザーランド模型
量子可積分系で相互作用をもつ系の場合,一般に相関関数の計算を厳密に行うことはとても困難で近似計算するしかない.しかし,その点,ポテンシャルに三角関数解を仮定したカロジェロ-サザーランド模型は解析的な結果を期待することができる価値のある模型である.
その母体となるカロジェロ-モーザー模型には,ポテンシャルHとして
有理関数解:H=Σ1/x^2,
三角関数解:H=Σ1/sin^2(ax),
双曲線関数解:H=Σ1/sinh^2(ax),
楕円関数解:H=Σ1/sn^2(ax,k)
などの解がある.snωはsinωとtanhωの中間に位置しているので,楕円関数解は三角関数解と双曲線関数解の中間に位置するものと考えられる.読者のなかにはsin(iθ)=isinhθであるから,三角関数解を正の曲率をもつ球面世界の解とすると,双曲線関数解は負の曲率をもつ双曲的世界の解と考えた方もおられるかもしれないが,そのように難しく考える必要はない.
これらのうち,sin^(-2)型の相互作用を仮定したものがカロジェロ-サザーランド模型なのであるが,円周上にn個の量子力学的粒子を乗せ,それらが束縛されている状況では,相互作用を表す項は
H=Σ1/(粒子iと粒子jの弦距離)^2=Σ1/sin^2(ax)
になるという幾何学的な解釈を与えることができる.
ただし,カロジェロ-サザーランド模型のポテンシャルは1/r^2型であって,クーロン相互作用のような1/r型とは異なっているため,非現実的な模型かもしれないが,可積分性のためにはある程度の代償を支払わなければならないのである.
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[2]フェアリンデの公式
また,
Hi=Σ1/sin^2i(ax)
という形の式は,物理学者のフェアリンデが共形場理論のなかで次元公式として与えた式にも出現していて,フェアリンデの公式は美しさと重要性のゆえに,発表以来,多くの数学者の興味を惹いてきた.
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自然数n,kに対して,半円y=(1-x^2)^(1/2)をk等分した点からx軸に垂線を下ろし,垂線の長さの2n乗の逆数和を
V(n,k)=Σ1/sin^2n(iπ/k) (i=1~k-1)
と定義します.そして,k^2nで割って,k→∞とすると
V(n,k)/k^2n=Σ((iπ/k)/sin(iπ/k))^2n・(iπ)^(-2n)
→2ζ(2n)/π^2n
が得られます.
すなわち,V(n,k)はリーマンのゼータ関数
1/1^s+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・=ζ(s)
に対応することがわかります.
また,証明は略しますが,
ΣV(n,k)sin^(2n)(x)=1−ktan(x)cot(kx)
のxにx/kを代入してk→∞とすると
2Σζ(2n)(x/π)^2n=1−xcot(x)
が得られます.
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