■フレネル積分とリンゴの皮むき曲線(その10)
リンゴの頭のところからお尻まで,1枚に繋げたままでらせん状に同じ幅を保って皮をむく.それを平らに広げると美しい二重らせんができる.
この曲線はコルニュのらせん,オイラーのらせん,クロソイドなどいろいろな名前で呼ばれている.リンゴの皮を一定の幅でむく.幅を細くすればするほどコルニュの螺線に漸近するというのである.
1744年,オイラーはこの曲線の曲率が弧長に比例するという性質を発見した.曲線上を進むにつれてらせんはどんどんきつく巻かれていく.物理学者のコルニュは光が回折するとき,この曲線が現れることに気づいた.
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【1】コルニュの螺線
クロソイド曲線は
x(s)=∫(0,s)cos(θ^2/2)dθ
y(s)=∫(0,s)sin(θ^2/2)dθ
で与えられるが,これはフレネル積分の特別な場合である.
その曲率半径は1/s(曲率はs)である.sは弧長であるから,曲線に沿って原点から遠ざかるにつれて,一定値sで曲率は大きくなる.つまり,クロソイドは曲率が長さに比例する曲線なのである(曲率=ks).
等速で走行しながら一定の速度でハンドルを切ると,車の奇跡はクロソイド曲線を描く.高速道路において直線区間と円弧区間の境目では急激なハンドル操作は車を不安定な状態に陥らせる.そのため,インターチェンジでは直線区間と円弧区間を緩和曲線と呼ばれる曲率が緩やかに変化する曲線でつながれるのである.ジェットコースターの軌道もまた然り.
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