■フレネル積分とリンゴの皮むき曲線(その3)

クロソイド曲線は

  x(s)=∫(0,s)cos(θ^2/2)dθ

  y(s)=∫(0,s)sin(θ^2/2)dθ

で与えられるが,これはフレネル積分の特別な場合である.

 その曲率半径は1/s(曲率はs)である.sは弧長であるから,曲線に沿って原点から遠ざかるにつれて,一定値sで曲率は大きくなることがわかる.

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【1】ディリクレ積分

  ∫(0,t)sint/tdt

の披積分関数をべき級数に展開したのち,項別に積分すると,

  x−x^3/3・3!+x^5/5・5!−・・・

が得られる.正弦積分とは,

  Si(x)=∫(0,t)sint/tdt

として定義される特殊関数(初等関数によって表し得ない関数)である.

 また,その特殊値

  Si(∞)=∫(0,∞)sint/tdt=π/2

はディリクレ積分とも呼ばれる.

  ∫(0,∞)sinx/xdx=π/2

はよく知られていて,複素積分などを用いて求めることができる.

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【2】広義ディリクレ積分の収束性

[1]α,βが正の定数でα>β−1を満たすとき,広義積分

  ∫(0,1)sinx^α/x^βdx=?

が収束することを示す.

 x→0のとき,sinx/x→1であるから,ある定数C1,C2があって

  C1≦sinx/x≦C2

が成り立つ.ゆえに

  C1x^(α−β)≦sinx^α/x^β≦C2x^(α−β)

  C1∫(h,1)x^(α−β)dx≦∫(h,1)sinx^α/x^βdx≦C2∫(h,1)x^(α−β)dx

 β−α<1より,h→0の極限をとると,hについて単調減少で下に有界であるから,当該の広義積分は存在し,値はC1∫(0,1)x^(α−β)dxとC2∫∫(0,1)x^(α−β)dxの間にある.

 とくに,α=1,0<β<2とすれば,広義積分

  ∫(0,1)sinx/x^βdx=?

は収束する.したがって,β=1/2

  ∫(0,1)sinx/√xdx=?

が存在する.

 y=√xと変数変換すると

  ∫(0,1)sinx/√xdx=∫(0,1)siny^2/y・2ydy=2∫(0,1)siny^2dy

になる.

[2]βが正の定数のとき,広義積分

  ∫(1,∞)sinx^α/x^βdx=?

が収束することも示すことができる.

 [1],[2]を併せると,フレネル積分

  S(∞)=∫(0,∞)sin(πt^2/2)dt

の収束は保証されたことになる.

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