■ベッセル関数と虹の数理(その2)
虹の数理を研究するために導入されたエアリーの関数は、±1/3次のベッセル関数で表されることがわかっている
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【1】アレクサンダー暗帯と過剰虹
エアリーが,物理光学の面から虹の説明を論ずるために導入したエアリー関数
Ai(x)=∫(0,∞)cos{π/2(t^3−xt)}dt
は収束が悪いために,数値計算は困難である.エアリー自身はいろいろなxに対する値を区分求積法で数値積分したのだが,大変な手間であった.
13年後の1849年にエアリーは,ド・モルガンが発見したエアリー関数のテイラー展開
∫(0,∞)cos(t^3−xt)dt=π/3[Σ(−x)^3k/k!Γ(k+2/3)−Σ(−x)^(3k+1)/k!Γ(k+4/3)]
を用いて,自分の計算をより精密にしているが,物理的には特に新しいことはない.
その後,ストークスは,エアリー関数が解となる微分方程式
y”=xy
を利用して,実数のパラメータxを複素平面全体に拡げ,エアリー関数の零点その他の詳しい性質を調べた.
ストークスの研究は,xが大きいときのエアリー積分の漸近挙動を調べるといった今日の漸近解析のはしりであって,現代の解析学に直結し,常微分方程式論の中に「複素平面上の無限遠点に不確定特異点をもつ常微分方程式」という分野を生み出した.
今日では,エアリー関数は,
∫(0,∞)cos(t^3−xt)dt=π/3√(π/x)[J1/3(2x^3/2/3^3/2)−J-1/3(2x^3/2/3^3/2)]
のように,±1/3次のベッセル関数で表現できることがわかっている.
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