■ファニャーノのレムニスケート等分公式(その14)

 sl(nu),n≧3をsl(u)の関数として表すことは大層複雑である.

  sl(nu)=0

をsl(u)について解くとかなり次数の高い式が現れると思うのだが,ガウスによれば次数n^2の方程式に帰着されるとある.

 たとえば,s=sl(2ω/5)とおくと,sl(5u)の乗法公式により,sは

  (5-2s^4+s^8)(1-12s^4-26s^8+52s^12+s^16)=0,

すなわち,24次方程式の根になるが,因数(s-1)で割り切れることを考慮すると25次方程式が得られるというわけであるが,この理由がわからない.

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【1】レムニスケートのn等分と次数n^2の方程式

 理由が知りたいところであるが,

http://www.juen.ac.jp/math/nakagawa/ellfunc.pdf

に解答が書かれてあった.

 たとえば,3倍角の公式

  sl(3u)=sl(u)(3-6sl^4(u)-sl^8(u))/(1+6sl^4(u)-3sl^8(u))

 u=2ω/3)とおくと,sl(3u)=0であるから,

  3-6sl^4(u)-sl^8(u)=0

を満たす.この方程式の実根は

  sl(u)=(2√3-3)^1/4

である.

 一般に

[1]nが奇数のとき

  sl(nu)=sl(u)Pn(sl^4(u))/Qn(sl^4(u))

  Qn+1(x)=Qn-1(x){Qn(x)^2+xPn(x)^2}

  Pn+1(x)=2Pn(x)Qn(x)Qn-1(x)-Pn-1(x){Qn(x)^2+xPn(x)^2}

[2]nが偶数のとき

  sl(nu)=sl(u)sl’(u)Pn(sl^4(u))/Qn(sl^4(u))

  Qn+1(x)=Qn-1(x){Qn(x)^2+x(1-x)Pn(x)^2}

  Pn+1(x)=2(1-x)Pn(x)Qn(x)Qn-1(x)-Pn-1(x){Qn(x)^2+x(1-x)Pn(x)^2}

 さらに,Qn(0)=1が成り立つ.

 これより,

  P4(x)=4(1+x)(1-6x+x^2)

  P5(x)=(5-2x+x^2)(1-12x-26x^2+52x^3+x^4)

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【2】雑感

  (5-2s^4+s^8)(1-12s^4-26s^8+52s^12+s^16)=0は,こういうことだったのである.これでn>5についても,方程式の次数が分かるのでガウスの主張の是非がたやすく確かめられたことになる.

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