■オイラーの公式と無限解析序論

オイラーの無限解析所序論には指数関数と三角関数の関係が述べられている。まったく出所の異なる2つの関数が複素数を介して結びつくことをオイラーは発見したのである。 t

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【1】オイラーの公式

 偉大な数学者オイラーは,指数関数と三角関数を結びつける美しい関係式:

  exp(ix)=cosx+i・sinx

を見つけました.これにより指数関数と三角関数は複素関数の一部をなしていることが理解されます.一見無関係に見えた指数関数と三角関数のあいだには,実はこのように深い関係が秘められていたのです.

 eの複素数乗とはこれいかにと驚かされますが,さらにx=πを代入することにより,数学で最も基本的な数とされるe,i,π,0,1がひとつの式の中に美しく現れている眼のくらむようなオイラーの関係式:

  exp(iπ)+1=0

が得られたのです.スターが一堂に会したこれ以上の豪華な顔合わせは望むべくもありません.x=2πを代入することによりexp(i2π)=1

 さらに,eは最も簡単な線形微分方程式y=y’(=y”=・・・)の解,πは最も簡単な2階の線形微分方程式y=−y”の解に現れることがわかりますが,それ以上の高階の微分方程式に対して新しい定数を導入する必要がなかったということも驚くべきことです.

 この有名な公式は数学者,科学者のみならず,神秘主義者,哲学者にも訴えかけるものをもっています.e,i,π,0,1の間の目を見張るような関係式を学んで数学を志すことにしたという話はよく聞かれるところですが,こんな不思議な関係を誰が予想したでしょうか.

 数学を学んだことのある人は誰しもはじめてオイラーの公式に接したときの印象を忘れえないことと思います.このオイラーからの贈り物は人間精神の力量を試す試金石でもありますから,まさに人類の至宝であるといってよいでしょう.

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