■整数の比の形に表すことができない(その49)

【5】証明(1)

   |α−a/b|<1/√5b^2

を満たす有理数a/bは無限に多く存在する.一方,λ>√5に対しても

   |α−a/b|<1/λb^2

を満たす有理数a/bが有限個しかない無理数αが存在する.

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 α=[a0:a1,a2,・・・]を無理数とする.無限個の近似分数pn/qnに対して

[1]λn=1/qn(qnα−pn)>√5となること

[2]√5より大きい数に置き換えると無限個に対しては成り立たないことを示す必要がある.

[1]無限個のanが3以上である場合

  λn-1>an≧3>√5

[2]2より大きいanは有限個だが,2になるanが無限個ある場合

  無限個のnに対してan+1=2,an≦2,an+2≦2であるから

  λn=an+1+1/(an+2+1/・・)+1/(an+1/・・)≧2+1/3+1/3=8/3>√5

[3]十分大きなmに対して,am=1である場合

  n>mにおいて,λn=[1:1,1,1・・・]+1/[1:1,1,1・・・,a1]

  n→∞のとき,λn=φ+1/φ=√5

[3]の場合だけが√5より大きい数に置き換えることができない.

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【1】ディリクレの定理

無理数αの近似分数をa/bとすると,

  |α−p/q|<1/q^2

を満たす有理数p/qは無限個存在する(ディリクレの定理).たとえば,

  |√2−41/29|<1/29^2.30873<1/29^2

  |√2−577/408|<1/408^2.17296<1/408^2

無限個の有理数で

|α−p/q|<1/q^2

を満たすものが存在するというのは無理数特有の性質といえるが,条件を厳しくすると,たとえば,

  |π−p/q|<1/q^20

には,有限個の整数解(p,q)しかない.

それでは有限・無限の境界はどこにあるのだろうか?

|α−p/q|<1/q^k

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