■アリスタイオスの証明(その13)

紀元前320年、アリスタイオスは「5つの正多面体の比較」という本を出し、その中で

「正12面体と正20面体が同一の球に内接するとき、正12面体の5角形と正20面体の3角形は同じ円に内接する」

ことを証明した。計算して確かめてみたい。

同じく双対の

「正8面体と正6面体が同一の球に内接するとき、正8面体の3角形と正6面体の4角形は同じ円に内接する」

は成り立つだろうか?

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単位円に内接する5角形と3角形の辺の長さはそれぞれ

s6=2sin45=√2

s8=2sin60=√3

(b)正八面体:d^2=2・s^2

(c)立方体:d^2=3・s^2

であるから成り立つことがわかる

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直径2の円に内接する正八面体の1辺は√2

(b)正八面体:d^2=2・s^2

が成り立つ

直径√3の円に内接する正六面体の1辺は1

(c)立方体:d^2=3・s^2

が成り立つ

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模型は難しいので、GIF動画にしてみました。  (山ア 憲久)

多面体木工は一般に立方体からほかの正多面体を削り出しますが、この場合は、球体から一様に小円断面を切り離す操作によって、すべての正多面体を削り出すと想定します。同じ大きさの球体から削り出した正六面体と正八面体、そして正十二面体と正二十面体とが、それぞれ特定の方向から見ると同じ大きさの小円断面からなることがわかります。

[1]球に内接する正8面体

[2]球に内接する正6面体

[3]同じ円に内接する

正8面体と正6面体が同じ球に内接するとき、中身の詰まった球体から小円断面を切り落とすと考えると、2つの立体の各面を含む小円断面は球の中心から同じ距離になる

双対は通常頂点と面心を交換する操作と思われていますが、その際には外接球の大きさが変わってしまいます。ところが外接球の大きさを固定すると、同じ大きさの小円断面を切り取る軸の違い(正六面体:3本と正八面体:4本、正十二面体:6本と正二十面体:10本)として双対がとらえられると思います。(正四面体の場合は正八面体の場合と同じ4本の軸の正方向と負方向で双対となります。)

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