■2^n+1型の数(その20)

【1】フェルマー数

 フェルマー数は簡単な漸化式

  Fn =(Fn-1 −1)^2+1

  Fn −1=(Fn-1 −1)^2

を満たしています.

  2^(2^2)=16

  2^(2^3)={2^(2^2)}^2=16^2

  2^(2^4)={2^(2^3)}^2=(16^2)^2

  2^(2^5)={2^(2^4)}^2=((16^2)^2)^2

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この式から

  Fn −2=Fn-1 (Fn-1 −1)=・・・=F0 F1 ・・・Fn-1

言い換えれば,Fn −2はそれより小さいすべてのフェルマー数で割り切れることがわかります.

 辺数3,4,5,6,8,10,12,15,16の正多角形は作図できますが,辺数7,9,11,13,14の正多角形は作図できないことから,正17角形もそうであろうと推察されます.ところが,1796年,ガウスは19才のときに正17角形の作図を思いつき,のみならず,nが素数の正n角形について,n=2^2^m+1が素数の場合に限り定規とコンパスだけで作図可能であることを発見しています.

 正7角形も正9角形も作図できないのに,まさか正17角形が作図できるとはと思うのが普通なのでしょうが,このことを用いると,m=0のとき正3角形,m=1のとき正5角形,m=2のとき正17角形となり,作図可能であることがわかります.当然,ずっと面倒になるでしょうが,正257角形(m=3),正65537角形(m=4)も作図可能です.

 2^2^m+1の形の素数をフェルマー素数といいます.フェルマー素数はガウスによって1世紀にわたる眠りから覚まされ,数論と幾何学に新たな美しさを吹き込んだことになります.フェルマーはこの型の数がすべて素数だと勘違いしていて必ず素数を与える式として考え出されたのですが,m=5のときは素数ではなく,現在,m=0,1,2,3,4の5個以外にフェルマー素数はみつかっていません.6番目のフェルマー素数の探索がコンピュータを使ってなされていますが,はたして本当に存在するのでしょうか.

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【2】メルセンヌ数

 2^n−1の形の数が素数であるためにはnが素数であることが必要条件です.一方,2^n+1の形が素数であるためにはn=2m の形であることが必要です.しかし,このことは十分条件ではなく,指数nがどんな数のとき2^n−1,2n +1が素数になるかはいまだに解決されていません.

 添字に2^nをもつリュカ数列{L2^n},すなわち,3,7,47,2207,4870847,・・・では,漸化式L2^(n+1)=(L2^n)2 −2が成り立ちますが,この漸化式とフェルマーの小定理(もしpが素数であれば,任意の整数aに関してa^p−aはpの倍数である.1640年)を応用した素数判定法がリュカテストです.

 リュカはフィボナッチ数列,リュカ数列を用いてメルセンヌ数(2^n−1)が素数であるかどうかを判定し,(2^127−1)が素数であることを示しています(1876年).この数は12番目のメルセンヌ素数で,1952年の13番目(2^521−1)からはコンピュータによる発見ですから,コンピュータを使わずに見つけられた最大のメルセンヌ素数になっていて,わかっている最大の素数として最長不倒記録を保ち続けました.

 1994年,アメリカのスーパーコンピュータ,クレイによって発見された258716桁の巨大な素数(2^859433−1)は33番目のメルセンヌ素数ですが,リュカテストはメルセンヌ数が素数であるか否か判定する非常に能率的なアルゴリズムとなっていて,リュカテストの効率のよさのおかげで最近の素数の世界記録はすべてメルセンヌ素数が独占しています.

 なお,フェルマー数(2^2^n+1)に対してはリュカテストと同じくらい能率的なペパンの素数判定法があり,コンピュータを使って6番目のフェルマー素数の探索が続けられているのですが,はたして本当に存在するのでしょうか.

 リュカやペパンの素数判定法によってある数が合成数とわかってもそれを素因数分解するのはとても大変な作業になります.現在,巨大な整数の素因数分解に楕円曲線法とか平方ふるい法とか能率のよい素因数分解法が考え出されています.

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