■神秘の六芒星(その25)

 (その23)の計算を続行する.

===================================

  PQ=λ(c+a)/(1+λ)

  QR=λ(a+b)/(1+λ)

  RP=λ(b+c)/(1+λ)

a+b+c=0より,

  PQ=−λb/(1+λ)

  QR=λ(a+b)/(1+λ)

  RP=−λa/(1+λ)

 したがって, 縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は

   (λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)

である.したがって,PQ^2,QR^2,RP^2は

  a^2,b^2,c^2/(λ^2−λ+1)

のいずれかに等しくなる.すなわち,

  (a^2,b^2,c^2)(λ^2−λ+1)

のいずれかに等しくなる.

 この形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると

  c^2=a^2+2a・b+b^2,2a・b=c^2−a^2−b^2

より

  a^2λ(λ−1)+b^2(1−λ)+c^2λ=c^2(λ^2−λ+1)

  a^2λ+b^2λ(λ−1)+c^2(1−λ)=a^2(λ^2−λ+1)

  a^2(1−λ)+b^2λ+c^2λ(λ−1)=b^2(λ^2−λ+1)

を得ます.

 3式を加えると,両辺とも

  左辺(a^2+b^2+c^2)(λ^2−λ+1)

となる.

 この方程式を整理すると,第1式から

  a^2λ(λ−1)−b^2(λ−1)+c^2(λ−1)^2=0

したがって,λ=1(中点をとる)か,または,a^2λ−b^2+c^2(λ−1)=0を得ます.

 λ≠1なら同様に

  −a^2(λ−1)+b^2λ−c^2=0

  −a^2+b^2(λ−1)+c^2λ=0

を得ます(和は0).これから

  a^2−b^2=λ(c^2−b^2)

などがでるので,a=b=c(正三角形)なら文句なし,そうでないと

  λ=(c^2−b^2)/(a^2−b^2)=(a^2−c^2)/(b^2−c^2)=(b^2−a^2)/(c^2−a^2)

などとなりますが,これは分母を払って整理するとa=b=c以外には成立しません.

 すなわち,この場合は元の三角形が正三角形であるが,またはλ=1(中点)のときに限ります.もっとも直接初等幾何学的に考えた方が早いかもしれません.

===================================

【雑感】重心座標を用いないで,ベクトルで解く場合,縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は

   (λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)

であることを示すのが結構大変である.

===================================