■神秘の六芒星(その16)
正三角形の縮小三角形は正三角形であるから簡単に解けるが,一般の三角形の場合でも当該の長さの比は等しくなる.これは一般の三角形を正三角形に射影することによって証明される.それぞれの三角形について検証するのではなく、一つの場合(正三角形)について証明すればよいのである。
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【1】問題
三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角形PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.正三角形の縮小三角形は正三角形である.
λ=CD/DB=AE/EC=SF/FA
[Q]正三角形の縮小三角形は正三角形である.AD,BE,CFの2本ずつの交点が作るP,Q,Rの内分比を1:κとすると
κ=EP/PB=λ^2/(1+λ)
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【2】証明
相似比を使って解ける.
BE^2=1^2+1/(1+λ)^2−2・1・1/(1+λ)cos60°=1−1/(1+λ)+1/(1+λ)^2
△BCMと△BPDは相似であるから,
BP=1/(1+λ)/BE
QE=1/(1+λ)^2/BE
PQ=BE−1/(1+λ)/BE−1/(1+λ)^2/BE
EP=BE−1/(1+λ)/BE
EP/PB=(1+λ)BE^2−1=λ^2/(1+λ)
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【3】発展
正三角形の縮小三角形は正三角形であるから簡単に解けたが,一般の三角形の場合の定理を使ってみたい.
一般に与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)
倍に等しくなる.
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3−1)^2/(λ^2+λ+1)^3=(λ−1)^3/(λ^3−1)
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/7.
[証]主要な点の重心座標はD(0,λ,1),E(1,0,λ),F(λ,1,0)
直線AD,BE,CFの方程式はそれぞれy/λ=z,z/λ=x,x/λ=y.これらの交点としてP(λ,1,λ^2),Q(λ^2,λ,1),R(1,λ^2,λ) (いずれも重心座標の比のみ)
ΔPQRの面積/ΔABCの面積=[λ,1,λ^2]/(λ^2+λ+1)^3
[λ^2,λ,1]
[1,λ^2,λ]
=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)
λ=2なら1/7,λ=3なら4/13
に等しい.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ΔPQRがΔABCと相似とすると,面積の関係から長さの相似比は (λ−1)/√(λ^2+λ+1)
である.
もとの正三角形の1辺の長さを1とすると,縮小三角形の1辺の長さPQは
(λ−1)/√(λ^2+λ+1)
というわけである.
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【4】さらなる発展
与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
倍に等しくなる.
(証)1/(λ+1)・μ/(μ+1)+1/(μ+1)・ν/(ν+1)+1/(ν+1)・λ/(λ+1)=1−(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3+1)/(λ+1)^3
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/3.
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