■ヒッパソスとテオドロスの伝説(その22)

ケプラーは自然界や宇宙にプラトン立体を探し求めた

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 ケプラーは惑星運動の法則を発見した天文学者として有名ですが、著名な数学者でもありました。事実、星形正多面体と呼ばれる凹型多面体の発見は彼の大きな業績です。ケプラーは「宇宙の神秘」(1596年)、「新天文学」(1609年)、「世界の調和」(1619年)という三部作を著していますが、非常にピタゴラスとプラトンびいきであって世界は数学的な調和、幾何学的秩序に従っていると確信し、彼の初期の著作「宇宙の神秘」では、太陽系の惑星の軌道を無数にある立体の中で明確な法則性をもっている立体(5種類の凸型正多面体)で幾何学的に説明しようとしていたことはよく知られています。

 当時、惑星は水金地火木土の6つしかないといわれていて、水星から土星までの間に5カ所の隙間ができますが、惑星の軌道は5種類の正多面体を次々同一の中心をもつ6個の球面に外接させて得られる、すなわち、この隙間に5つしかないプラトンの正多面体をすっぽりと入れ込むことができると主張しました。もちろん、ケプラーの法則を発見する以前の話で、天王星、海王星、冥王星の存在を知らなかったのです。

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