■フェルマー・シュタイナー点(その49)
針金を曲げて作った立方体枠を石けん水に浸して,ゆっくち持ち上げると,少し膨らんだ立方体と枠との間に張られる12面ができる.膨らんだ立方体は1枚の正方形面に退化するが,点に退化するシーンはみたことがない.
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立方体の1辺の長さを1,真ん中の立方体の1辺の長さをxとおく.
二等辺三角形の高さhは,h^2=1/2
であるから,正方形6枚,等脚台形12枚の総面積は
S=6x^2+6(x+1)(h−hx)
=6x^2+6h(x+1)(1−x)
=(6−6h)x^2+6h
S’=2(6−6h),x=0
したがって,1点に退化したほうが,総面積は小さいことになる.
x=0のとき,S=6h=3√2<(立方体の表面積6)
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それでは,正方形に退化した張り方のほうが総面積は小さいだろうか?
正方形1枚:x^2
等脚台形8枚:
高さ{(1/2)^2+(1/2−x/2)^2}^1/2)
2(1+x){(1+(1−x)^2}^1/2
二等辺三角形4枚:
高さ(1/√2−x/√2)
√2(1−x)
x=0.0729で,最小値
S=4.2426<3√2<(立方体の表面積6)
をとる.したがって,正方形に退化した張り方のほうがさらに総面積は小さいことになる.
[参]矢崎成俊「実験数学読本」日本評論社
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