■完全順列・撹乱順列(その1)

[1]モンモールの問題

 モンモール数は規準となる並び順に対して,どの要素も本来のポジションにないような順列のことで,完全順列(撹乱順列)と呼ばれます.たとえば,{5,1,2,3,4}はどの数も元の場所に位置していないので完全順列,{5,2,1,3,4}は2の位置が固定されたままなので完全順列ではありません.

 n個の宛名を書いた封筒にn個の手紙を無作為に入れるとき,すべての手紙がその宛名と違う封筒に入る確率は,包除原理より,

(n,1)/n-(n,2)/n(n-1)+(n,3)/n(n-1)(n-2)-・・・+(n,n)/n!

=1-1/1!+1/2!-・・・+(-1)^n1/n!

n=13のとき

1-1/1!+1/2!-・・・+(-1)^n1/n!=0.3679

n→∞のとき,

  (1-1/n)^n → 1/e=0.3678・・・

に近づきます.

 n個の要素に対する完全順列の数をモンモール数と呼びます.一般項は

  f(n)=n!Σ(-1)^k/k!

また,漸化式

  f(n)=(n-1)(f(n-1)+f(n-2))

が成り立ちます.

n  f(n)

1    0

2    1

3    2

4    9

5   44

6  265

===================================