■神秘の六芒星(その4)

【2】パスカルの定理

[1]パスカルの円錐曲線定理

 円錐曲線すなわち楕円,双曲線,放物線に内接する任意の六角形の三組の対辺の交点は同一直線上にある.

 円錐曲線には種々の形があります.直線は無限半径をもつ円ですが,2本の直線からなる退化した円錐曲線(ax+by+c)(dx+ey+f)=0を考えればパップスの定理「直線上に3点A,B,C,もう一つの直線上に3点A’,B’,C’をとる.AB’とA’Bの交点をP,BC’とB’Cの交点をQ,AC’とA’Cの交点をRとするとき,P,Q,Rは同一直線上にある.」にたどりつきます.パスカルの定理は円錐曲線が既約でない場合にも成り立つというわけで,どのような円錐曲線でもこの定理が成り立つことが主張されているのです.

 パスカルの定理の重要な系が「円錐曲線は任意の5点で一意に定まる」です.

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[2]パスカルの円錐曲線定理の拡張

 円錐曲線上に6点を定める.3次曲線E1,E2がこれら6点を通るとき,E1,E2はさらに3点R,S,Tで交差するが,これらの交点は同一直線上にある.

 3次曲線E1,E2は一般に9個の交点をもちますから,前述のパスカルの定理は,拡張形定理(2次曲線あるいは3次曲線相互の交点が直線上に並ぶことを主張する定理)において,3次曲線が直線に退化した特別な場合:(ax+by+c)(dx+ey+f)(gx+hy+i)=0とみなすことができます.

 この拡張形定理は楕円曲線:y^2=x^3+ax+b  (4a^3+27b^2≠0)の結合法則をも保証するものであって,その意味では楕円曲線論,代数曲線論における基本定理の原型となる重要な定理となっていて,代数幾何学の重要な定理と深く関わっています.

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[3]オイラーの定理

 2つの3次曲線が9点で交わっているとき,9個の交点のうち8個を通る3次曲線は残りの1点をも通る.

 オイラーの定理の重要な系がパスカルの拡張形定理「2つの3次曲線が9点で交わっているとき,9点中6点がひとつの2次曲線上にあれば,残りの3点は1直線上にある」です.一般に,2つのn次曲線f(x,y)=0とg(x,y)=0がn^2個の点で交わっているとします.こられのn^2個の交点中,n^2+n−2個の交点を通るn次曲線は残りのn−2個の点も通り,

  f(x,y)+tg(x,y)=0

で表されます.

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