■フェルマー予想・谷山志村予想・ラングランズ予想(その4)

1950年代、谷山豊と志村五郎は一見無関係に見える2つの数学分野を結びつける大胆な予想をした。

すべての楕円曲線のもつ代数的構造は、数論の一意のモジュラー形式であるというものである(2001年、この予想は確証され、モジュラリティ定理と呼ばれるようになった)

この予想の重要性は徐々に理解されるようになり、1985年、フライはこの予想とフェルマー予想を結びつけた。モジュラーでないように見える不思議な楕円曲線を構成し、谷山志村予想が偽であるときにのみそのような曲線が存在しうる、谷山志村予想が真であれば、フェルマー予想が成り立つ。

1986年,リベットはフライの予想が正しいことを証明した。谷山志村予想を証明できれば、フェルマー予想も証明できる。

ワイルズは不可能と思われた数論問題が楕円曲線の代数幾何学を使って解決したのである。

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その結果ほかの数学予想の証明方法にも新しい展望が開かれることになった。

1967年、ラングランズは一見つながりのなさそうな整数論と調和解析のあいだに深遠なつながりがあることを示唆した。調和解析では複雑な関数を正弦波に分解できるかを探求する。正弦波は連続的であるが、整数は離散的である。

ラングランズ・プログラムは調和解析と整数論の融合であるが、電気と磁気の統一が物理に新たな理解をもたらしたように、数学の大統一理論と呼ばれる。

ワイルズはラングランズ予想の一つを使ってフェルマー予想を解決に導いたことになるのである。

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