■ピタゴラス数とエジプト三角形(その7)

 何年か前に中国・大連で数学の講演を行った際,同行した通訳の高橋公一郎氏(秋田県横手市在住)がピタゴラスの定理を「鉤股弦の定理」と訳していた.中国では日本ではカタカナにするような単語,たとえばコカコーラを口可口楽にするなど「音」をあてはめることによって表現する.

 人名,たとえばガウス(高斯)もその類であるが,ピタゴラス=鉤股弦なのであろうか?

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 私の理解するところでは,直角三角形a^2+b^2=c^2(a≦b≦c)において,直角を挟む2辺のうち短いほう(a)が鉤,長いほう(b)が股,斜辺(c)が弦である.なお,英語ではaもbもlegである.

 劉徽の「九章算術」では,「鉤股弦の定理」の証明を鉤と股の2つの正方形を,古代中国のタングラムのように単純な三角形や四角形に分割して,斜辺の正方形に再配置している.その再配置の方法はユークリッドの原論のものより理解しやすいものになっている.

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