■ピタゴラス数とフィボナッチ三角形(その8)

【4】テータ関数の利用

 

 前節では平面楕円曲線の群構造を利用しましたが,この節ではヤコビの4つのテータ関数を利用して空間曲線:

  x^2+my^2=z^2

  x^2+ny^2=w^2

に直接群構造をいれてみることにします.以下,その解析的な証明の筋道だけを示します.

a)Θ(u)=(θ0(z),1/√kθ1(z),√k'/kθ2(z),√k'θ3(z))

      =(x0,x1,x2,x3)

  k=(θ2(0)/θ3(0))^2

  k’=(θ0(0)/θ3(0))^2

  √k’/k=θ0(0)/θ2(0)

と定義すると,テータ関数の加法公式より,

  x0^2−x1^2=x2^2

  x0^2−k^2x1^2=x3^2

なる写像を得る

 さらに,Θ(u)=x,Θ(u’)=y,Θ(u+u’)=zとおくと

  z=(x0^2y0^2−k^2x1^2y1^2,x0x1y2y3+x2x3y0y1,x0x2y0y2−x1x3y1y3,x0x3y0y3−k^2x1x2y1y2)

b)λ=n/mとおくと,k^2(τ)=λなるτが固定される.すなわち,m,nを固定することはτをひとつ適当に固定することに相当し,群構造が確定する

 たとえば,m=5,n=−5とすると,前節でみたようにx=(41,12,49,31)は空間曲線上の点であり,

 2x=(x0^4+25x1^4,2x0x1x2x3,x0^2x2^2+5x1^2x2^2,x0^2x3^2−5x1^2x2^2)=(3344161,1494696,4728001,−113279)についても同様.

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