■球面鏡と放物面鏡(その39)
【1】包絡線の求め方
陰関数f(x,y)=0上の点(x,y)で接線の方程式を求めるには,2変数関数の微分の知識が必要です.その場合,f(x,y)=0のyをxの関数(f(x,y(x))=0)とみなして,両辺をxで偏微分すれば2変数関数の合成微分の公式によって
∂f/∂xdx/dx+∂f/∂ydy/dx=0
すなわち,fx+fydy/dx=0より,
y’=dy/dx=−fx/fy
が得られます.fx+fyy’=0の式をxの関数とみて,さらに,この両辺をxで微分すれば
fxx+fxyy’+(fyx+fyyy’)y’+fyy”=0
より
y”=d^2y/dx^2
=−1/fy(fxx−2fxyfx/fy+fyyfx^2/fy^2)
が得られます.決して,y”=−fxx/fyyなどというでたらめを書かないように!
曲線族の各々の曲線すべてに接する曲線が包絡線です.曲線族が陰関数f(x,y,t)=0で与えられている場合,パラメータtが動くときの包絡線の方程式を求めるにはft=0を解いてt=g(x,y)を消去したり,あるいはx,yをtで表します.
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考える直線族を
u(s)x+v(s)y=1
とした場合,その包絡線は
u(s+h)x+v(s+h)y=1
との交点を求め,h→0としたときの交点の軌跡と考えられますから,
u’(s)x+v’(s)y=0
と
u(s)x+v(s)y=1
を連立させて計算できます.
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【2】包絡線の実例
[1]定点F(0,1)と定直線L(y=−1)上の動点A(2s,−1)を結ぶ線分の垂直二等分線族の包絡線
中点の座標は(s,0)であるから,垂直二等分線は
y=s(x−s)
x/s−y/s^2=1
u(s)=1/s,v(s)=−1/s^2
u’(s)x+v’(s)y=0→sx=2y
連立させてx,yについて解くと
x=2s,y=s^2→y=x^2/4 (放物線)
[2]長さ1の線分の一端A(cosθ,0)がx軸上に,他端(0,sinθ,0)がy軸上にあるとき,この線分の包絡線
答えはアステロイド(a=1)
x^2/3+y^2/3=a^2/3
x=(acosθ)^3
y=(asinθ)^3
になることはよく知られている.
線分ABの方程式は
x/cosθs+y/sinθ=1
u(s)=1/cosθ,v(s)=1/sinθ
u’(s)x+v’(s)y=0
sinθx/cos^2θ−cosθy/sin^2θ=0
連立させてx,yについて解くと
x=cos^3θ,y=sin^3θ
x^2/3+y^2/3=1 (アステロイド)
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