■球面鏡と放物面鏡(その37)

【3】君は円い虹を見たか?

 焦線の例としては,コーヒカップの中に太陽光が当たってできるネフロイドという6次曲線

  f(x,y)=(x^2+y^2)^3−12(x^2+y^2)^2+48x^2−60y^2−64=0

がある.

 陽のよく当たる窓辺にコーヒーカップをもっていって,カップの底を覗いてみて欲しい.そこには,ハートマーク状のカスプ−−−A2型のクライン特異点(2次元の単純特異点)をもつ曲線が見えるはずである.ネフロイドは平行光線が円の内側で反射されるときの包絡線である.

 また,カージオイド

  f(x,y)=(x^2+y^2)^2−6(x^2+y^2)+8x−3=0

は光が周上の1点から発して円周で反射されたときにできる包絡線(4次曲線)であることがわかっている.

 円の反射による包絡線は一般にはリマソンになるが,光源の位置が無限遠にある場合はネフロイド,円周上にある場合はカージオイド,円の中心にある場合には円の中心そのものになる.

 

1つの水球に注目すると焦線の集まりは太陽光と平行な中心軸をもつ直円錐をなすことがわかる.これを観測者の眼を中心に考えると,円錐を平面で切った断面の曲線(円錐曲線)が,虹として観察されることになる.

 切り口であるから通常は楕円であるが,まれに水平方向近い断面(牧草地に朝露が降り,そこに太陽光が注ぐときなど)では放物線状,双曲線状の虹が見えることがあるという.

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