■球面鏡と放物面鏡(その2)

 アポロニウスは「円錐曲線論」の中で、太陽光線は球面鏡では収束せず、放物面鏡では収束することを初めて指摘した。

それでは太陽光線は球面鏡で反射した後、どこへ向かうのだろうか?

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【1】エピサイクロイド・ハイポサイクロイドの特異点(直線族の包絡線)

 エピサイクロイド(カージオイド,ネフロイドなど),ハイポサイクロイド(デルトイド,アステロイドなど)には,直線族の包絡線(エンベロプ)であるという共通の性質が知られています.

 たとえば,ネフロイドは平行光線が円の内側で反射されるときの包絡線でしたが,カージオイドは光が周上の1点から発して円周で反射されたときにできる包絡線であることがわかっています.カージオイドは4次曲線

  (x^2+y^2)^2−6(x^2+y^2)+8x−3=0

で表されます.n=1ですから,半径Rの凹面鏡の球心を中心とする半径R/3の円上を滑ることなく転がる半径R/3の円の接点の軌跡であり,カージオイドの特異点は凹面鏡の球心からR/3の位置にできることになります.

 円の反射による包絡線は一般にはリマソン(蝸牛線)になるのですが,光源の位置が無限遠にある場合はネフロイド,円周上にある場合はカージオイド,円の中心にある場合には円の中心そのものになるというわけです.

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 また,アステロイドは長さ4rの棒の両端をx軸,y軸にのせながら動かしたときの包絡線となっています.「アステロイド:x^(2/3)+y^(2/3)=a^(2/3)において曲線状の任意の点における接線がx軸,y軸と交わる点をそれぞれA,BとすればAB=aであることを証明せよ.」は高校の教科書にも取り上げられていて,ご存知の方も多いでしょうが,その逆問題「曲線上の任意の点における接線のx軸,y軸とで切り取られる部分の長さが一定であるような曲線を求めよ.(クレローの微分方程式)」を取り上げたものは少ないようです.この微分方程式は簡単に解けて,アステロイドという解曲線が得られます.

 デルトイドは3つの尖点をもつ図形ですが,「デルトイドの接線が曲線に挟まれる部分の長さは一定である.」という性質があります.これは,デルトイドでは長さ4rの棒をデルトイドに接しながら1回転することができるというのと同一です.→(掛谷の問題)

 シムソン線というのは三角形の外接円上の任意の1点から3辺(またはその延長線)に下ろした垂線の足を結ぶ直線のことで,垂線の足は一直線上に並ぶところが面白いところです.初めてデルトイド(三星形)の研究を行ったのはオイラー(1745年)ですが,19世紀の数学者シュタイナーがシムソン線の包絡線として研究したところから,デルトイドはシュタイナーのハイポサイクロイドとも呼ばれています.

 デルトイドがもつ性質のひとつは外接円さえ同じであれば,三角形の形に関係なく,同じ形のデルトイドが得られるということです.もう一つの性質はデルトイドで両端を仕切ったシムソン線の長さは一定で,その値は転円の半径をr(すなわち定円の半径を3r)とすると,4rになります.

 三角形の9点円Qと同心で,半径がその3倍の定円Q’を導線として,Qを通るシムソン線(3本ある)がQ’と交わる点Sにおいて,最初Q’に接していた9点円と同大の円をQ’の内側をころがすとき,最初Sにあった点の描く軌跡がこのデルトイドです.この結果はシュタイナーが初等幾何学的に示しました.

 なお,n個の尖点をもつハイポサイクロイドの定円の半径をRとした場合,ハイポサイクロイドの面積は

  S=(n−1)(n−2)/n^2・πR^2

で表されます.

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