■ルート系(その17)
【2】高次元の正多胞体とリー群
(6,6,6) → 正三角形
(4,8,8) → 直角二等辺三角形
(4,6,12) → 30°,60°,90°の三角形
(3,12,12)→ 30°,30°,120°の三角形
が2次元の基本単体になるのですが,基本単体を鏡映も許しながら自分自身に重ねていく操作がルート系であり,それは,アメリカのキリングやフランスのカルタンによって成し遂げられた単純リー群の分類と関係しています.
そして,高次元の正多面体の場合の結論を先にいうと,ユークリッド空間の有限群(正多面体)または無限離散群(空間充填形)になるのは,4つの無限系列(An,Bn,Cn,Dn)と6つの例外的な場合(G3,F4,G4,E6,E7,E8)に限られます.
このうち,n次元の正単体群はAn,超立方体群はBnまたはCn,3次元の正二十面体群はG3,4次元の正24胞体群はF4,4次元の正600胞体群はG4と関連しています.
以下,代表的なディンキン図形を掲げますが
・−・・・・・−・ (An:n≧2のとき位数2の自己同型がある)
・
/
・−・・・・・ (Dn:n≧4のとき位数2の自己同型がある)
\
・
3
/
1−2 (D4:位数3の自己同型がある)
\
4
4
|
1−2−3−5−6 (E6:位数2の自己同型がある)
1=2 (B2) 1≡2 (G2) 1−2=3−4 (F4)
1≡2−3 (G3) 1≡2−3−4 (G4)
ここで,G3,G4はG2に1個または2個の節点をつないだグラフであり,単純リー群では許されない形です(拡張されたディンキン図形).
正24胞体は,すべての次元を通じて,単体以外の唯一の自己双対な正則胞体です.この24胞体の対称性を,鏡映で生成される既約な有限群(ルート系)との関係でみても興味深いものがあります.たとえば,正24胞体に含まれる正16胞体は互いに60°をなしますから,D4の3対性をもっているというわけです.
また,正24胞体は1つの例外型対称群F4をもつことが知られています.2個の正24胞体を中心を一致させて重ねて回転させます.これはちょうど平面上でダビデの星が2つの正六角形を30°ずらして重ねたものと似ているわけですが,この対称性がF4に相当します.正24胞体は単体以外の唯一の自己双対な正則胞体であるという事実がF4と関係しているのですが,この点もまた注目すべきものでしょう.
正600胞体(3,3,5)では捩れ(3,4,3)が関係してG4をもちます.また,正120胞体の600個の頂点をうまくとると,他の4次元正多胞体(正5,8,16,24,600胞体)がすべて作れるので,その意味で正120胞体は4次元の万能正多面体です.(3次元の正十二面体はその頂点から正四面体,正六面体を作ることができますが,正八面体や正二十面体を作ることはできません.)
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