■ルート系(その4)
【2】ルート系の例
ルートは,半単純リー群の分類とか,特異点,正多面体の決定の際にも現れ,数学のさまざまな領域で重要な働きをします.
ここで,R^nの標準基底をe1,・・・,enとしましょう.
ei=(0,・・・,1,0,・・・,0)
たとえば,R^3の標準基底をe1,e2,e3,R^4の標準基底をe1,・・・,e4,R^8の標準基底をe1,・・・,e8とすると,A3型ルート系は,
Φ={e1−e2,e2−e3,e3−e4}
D4型ルート系は,
Φ={e1−e2,e2−e3,e3−e4,e3+e4}
E8型ルート系は,
Φ={e1−e2,・・・,e7−e8,e0−e1−e2−e3}
のようにとれます.
ここで,それぞれ,
αi=ei−ei+1
αi=ei−ei+1,αn=en-1−en
αi=ei−ei+1,α0=−e1−e2−e3
とおきます.そうすると,E8型ルート系の場合,
α1−α2−α3−α4−α5−α6−α7
|
α0
となり,前述のディンキン図形が求まります.このように,ディンキン図形は特異点とルート系の架け橋となっているグラフなのです.
ルートは鏡映を与えるベクトルとして理解することができるのですが,8次元ユークリッド空間において,8次元単体(4面体の拡張)を鏡映したものからなるモザイク模様に対してベクトルの集合を考えることによって,E8型ルート系が得られるというわけです.多岐にわたる話題の中に少なからぬ重要性をもって現れるわけですから,魅力的な世界を形作っていると申せましょう.
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