■ルート系(その3)

 R^nの単体に置き換えて得られるベクトルの集合が一般の階数のルート系となります.ルート系の分類は,それ自体大変面白いものなのだそうですが,既約ルート系の同型類には,AからGまでのアルファベットに,添字として階数をつけた名前が付いていて,E8型ルート系などと呼ぶ習慣になっています.

 A3型,D4型,E8型のディンキン図形は,

      3         1−2−3  (A3 )

     /                             

  1−2   (D4 )        4              

     \               |              

      4         1−2−3−5−6−7−8  (E8 )

そして,ディンキン図形に基づいて,隣接行列の要素bijを,

  それ自身のとき・・・・2

  結ぶ辺があるとき・・・1

  結ぶ辺がないとき・・・0

と定めます.

 これは,隣接行列{bij}が内積bi↑・bj↑からなるグラミアンによって定義され,その際,n次元平行多面体の基底となるn個のベクトルbkはすべて長さ√2,biとbjが隣り合うときは2つのベクトルは角度60°で交わり(内積=1),隣り合わないときは直交すること(内積=0)を意味しています.

 そうすれば,A3型,D4型,E8型に対応する隣接行列式|B|は,それぞれ

  |2 1 0|   |2 1 0 0|

  |1 2 1|   |1 2 1 1|

  |0 1 2|   |0 1 2 0|

            |0 1 0 2|

 

  |2 1 0 0 0 0 0 0|

  |1 2 1 0 0 0 0 0|

  |0 1 2 1 1 0 0 0|

  |0 0 1 2 0 0 0 0|

  |0 0 1 0 2 1 0 0|

  |0 0 0 0 1 2 1 0|

  |0 0 0 0 0 1 2 1|

  |0 0 0 0 0 0 1 2|

で定義され,格子群の基本領域の体積Vと最短距離dは

  G=(d^2/2)^n|B|=1=V^2

より求められます.極大格子については,現在のところ,n≦8のみ答えが知られています.

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