■折り紙による作図問題(その52)

【2】折り紙による正多角形の作図

 正多角形の作図は円周等分問題という幾何学問題ですが,x^n−1=0という代数方程式の解と密接な関係にあります.正5角形の作図は黄金比と関連していて,2次方程式:x^2−x−1=0を解く,すなわち(√5+1)/2を求めることによって可能となりました.ギリシャ人は黄金分割を用いた見事な方法で正五角形の作図に成功したのですが,この方法は二次方程式の幾何学的解法を利用した賢明な方法といえます.

 一方,正7角形,正9角形はそれぞれ3次方程式:x^3+x^2−2x−1=0,x^3−3x+1=0に帰着します.したがって,正7角形,正9角形の作図や倍積問題のように3次方程式に帰着する作図問題は+−×÷√の演算を組み合わせても解けません.

 ところが,リンク装置を使えば角を3等分できます.また,近年になって折り紙を使っても角の3等分が可能であることが示されました.また,折り紙を使えば倍積問題が解けます.折り紙は3次方程式・4次方程式を解く力をもっているというわけです.

[補]折り紙の折り目による包絡線として円錐曲線を表すことができますから,折り紙は2次方程式を解く力ももっています.4次を超える能力はありませんが・・・. 定規とコンパスでは正7,9,11,13,14,・・・角形を構成できませんが,折り紙では2^u3^v+1という形の素数になるとき構成することができますから,構成できない最小の正n角形はn=11であり,以下22,23,25,29,・・・と続き,より多くの正多角形を構成することができます.

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