■折り紙による作図問題(その30)
(問)互いに平行な2つの円形の枠に石けん膜を張ったとき,その形は?
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(答)この問題は「y=f(x)>0のグラフをx軸を中心に回転させてできる曲面の面積を最小にしたい」と等価です.曲面の面積は
S[y]=2π∫y(1+(y')^2)^1/2dx
で与えられます.懸垂線(カテナリー)の問題を変分法によって解いたのはベルヌーイであったのですが,これは懸垂線で考えた位置エネルギーの2π倍ですから,解は懸垂線を回転させたものであることが導かれます.
f(x)=cosh(αx)/α が解である
ただし,x>0におけるy=coshx/xの最小値はおよそ1.5088である.したがって,この値よりもyが小さかったら解はない.1.5088=1/0.6627
針金でできた半径1の2つの輪があるとき,その間隔が1.3254よりも小さければカテノイドができ,大きければできない.
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懸垂線は与えられた2点を両端とする一定の長さの曲線を,x軸を軸として回転させたときにできる曲面の表面積を最小にする曲線であることがわかります.カテナリーを準線のまわりに回転させてできる曲面は懸垂曲面(カテノイド)と呼ばれます.なお,カテノイドは,唯一の回転極小曲面であることも示されています.懸垂面は極小曲面(表面積最小曲面)の重要な例ですが,常螺旋面(ヘリコイド)など,極小曲面については非常に多くの例と結果が知られています.ヘリコイドとカテノイドは第2基本形式は異なるものの第1基本形式はまったく同じです.
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