■折り紙による作図問題(その22)

 折り紙の折り目による包絡線として円錐曲線を表すことができますから,折り紙は2次方程式を解く力ももっています.

[1]平行線の線分の端点を1点に集めるように折り返せば、準線までの距離と焦点までの距離が等しくなって放物線になる

[2]円周上の点を円の中にある1点に合わせて折り返した時の折り目が描く曲線は楕円となる

[3]円周上の点を円の外にある1点に合わせて折り返した時の折り目が描く曲線は双曲線となる

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【補】ケプラーからニュートンへ

 ケプラーの法則の発見は天文学の歴史の中における輝かしい発見であるばかりでなく、ニュートンやライプニッツによりほとんど同時に開拓された微分積分学という数学の革新的方法によって、この法則の背後にある本質的な自然界の法則、すなわち、ニュートンの万有引力の法則の発見(「自然哲学の数学的原理:プリンキピア」1687年)へと統合され、帰結していくという歴史をたどることになりました。

 ニュートンの業績は、ケプラーによる惑星の運動法則とガリレオによる落体の運動法則から天上と地上の運動を統一させた力学を作り上げ、リンゴが落ちるのと地球が太陽のまわりを周回するのが同じ力の遠隔作用<万有引力>によることを確立したこと、さらに、そのための方法として微分積分学を体系づけたことにあります。ガリレオの放物線とケプラーの楕円は物理現象の記述に円と直線以外の円錐曲線が使われた科学史上初の出来事になっていて、外見の違う現象が統一原理で結ばれる1つの実例になりました。これらの結果を基礎としてニュートンはすばらしい重力理論を作り上げたことになるのですが、ケプラーやガリレオなしにニュートンの成果は生まれ得なかったであろうと思われます。天空と地上の二つのことが、二人の一種の分業によって高い水準まで達したのですが、それがニュートンによって統合されたのです。

 ニュートンの仕事は、物理現象の知識を数学を用いて獲得することに成功した例であり、ニュートンの法則を使えばケプラーの法則を導くことができます。逆に、数学が物理現象を探し求める助けとなった顕著な例として、海王星の存在を純粋に理論的に予言した事実をあげることができます。

 1820年頃、天王星の運動に不可解な偏差が観察されました。ニュートンの万有引力の理論から、天王星の運動の乱れは未知の惑星の引力によるものと予想されていましたが、一種の逆問題によって未知の惑星の質量と軌道が導かれました。天王星のずれから、未知の惑星の位置を予測したのはフランスのルヴェリエとイギリスのアダムスです。その惑星は海王星と名付けられたが、海王星は当時の望遠鏡でやっと見えるほどであり、位置の予測がなければ発見することはできなかったと思われます。

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