■折り紙による作図問題(その5)
コンパスと標識定規による作図の場合は
n=2^a3^b+1
に限り,標識定規とコンパスで作図可能であることが示されています.したがって,
[1]n=7,9,13,19 → 作図可能
[2]n=11 → 作図不可能
すなわち,コンパスと定規のみをを使うという制限下では,正三角形・正方形・正五角形・正六角形の作図には成功するものの,正七角形と正九角形では躓いてしまう.それに対して,折り紙では正十一角形は困難なものの,正七角形と正九角形の作図はあっさり成功するのである.
折り紙では2^a3^b+1という形の素数になるとき構成することができるので,構成できない最小の正n角形はn=11であり,以下22,23,25,29,・・・と続く.
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[参]ゲレトシュレーガー「折り紙の数学」森北出版
には,正3,5,6,7,8,9,10,12,13,14,16,17,19角形の折り方が実際に示されている.正17角形の作図で最もエレガントなものは多分リッチモンドによる円の半径の4等分点を利用するものであるが,折り紙の工程でも円の半径の4等分点が使われているようである.
また,同書によると,正方形に内接する最大の正多角形を折る問題については以下の定理が成り立つ.
[定理1]最大の正4k角形(k=2,3,4,・・・)は2つの頂点を正方形の各辺に載せている.したがって,最大の4k角形は一意に定まる.
[定理2]n≠4kのとき,最大正多角形は各辺上にそれぞれひとつの頂点を載せている.
[定理3]最大の正多角形は正方形の対角線を対称軸としてもつ.
[定理4]正n角形に対して,少なくともひとつの頂点が正方形の辺上にあり,正方形の対角線のひとつが正n角形の対称軸になるような最大の正n角形が正方形内に存在する.
したがって,正方形に内接する最大の正三角形ではひとつの頂点は正方形の角にある.正方形に内接する最大の正4k角形では2つの頂点が正方形の辺上にある.正方形に内接する最大の正2k角形では正方形の2つの対角線が正2k角形の対称軸となる.
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