■高次元図形の研究法(その18)
2005年のコラム「高次元の準正多胞体」の記述には誤りも多く、また、ワイソフ構成についての理解の足りないところが見受けられる。訂正してみたい。
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【1】準正多面体とその高次元版
準正多面体(アルキメデス立体)は,正多面体(プラトン立体)と同じ回転対称性をもちながら2種類以上の面が規則的に配列されている立体である.アルキメデスの立体は13種類あり,11種類は正多面体と同じ回転対称性と鏡映対称性をもち,2種類は正多面体と同じ鏡映対称性をもたないねじれ型である.準正多面体は外接球と稜接球をもつが内接球はもたない.
正多面体の各辺の中点を頂点とする準正多面体(010)に立方八面体と12・20面体がある.前者は立方体と正八面体,後者は正12面体と正20面体の中間に位置する準正多面体である.3次元正多面体の切頂によって,2種類の正多角形からなる準正多面体ができるが,切頂の深さがその頂点と辺の中点との間にあるもの(110),辺の中点にあるもの(010),辺の中点を越えたもの(011)があり,結局,ひとつの正多面体からそれに双対な正多面体に至るまで3段階の準正多面体があることになる.
たとえば,
立方体(001)←→切頂立方体(011)←→立方八面体(010)←→切頂八面体(110)←→正八面体(100)
正12面体(001)←→切頂12面体(011)←→12・20面体(010)←→切頂20面体(110)←→正20面体(100)
と3段階を経過して変化する.
しかし,自己双対な正四面体の場合は
正四面体(001)←→切頂四面体(011)←→正八面体(010)←→切頂四面体(110)←→正四面体(100)
となり,2種類の多面体が繰り返しながら現れるのみである.このように正四面体は厄介な存在なのである.
当該の書籍
石井源久・山口哲「高次元図形サイエンス」(京都大学学術出版会)
では稜の中点に頂点を置くものを準正型(狭義の準正多面体)とし,それ以外の切頂型を切頂型(狭義の半正多面体)としている.この意味で13種類あるアルキメデス立体をさらに分類してみると
(1)準正型:2種類(立方八面体,12・20面体)・・・(010)
(2)切頂型:5種類(切頂四面体,切頂立方体,切頂八面体,切頂12面体,切頂20面体)・・・(011),(110)
(3)準正多面体の切頂型:2種類・・・ねじれ立方体、ねじれ12面体
(4)添加型:菱形立方八面体など2種類・・・(101),(111)
(5)ねじれ型:ミラーの多面体など2種類
となる.
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