■アレクサンドロフの定理(その3)

 立方体を展開して得られるラテンクロス(十字架形)はよく知られた形であるが,辺と辺を貼り合わせることにより,驚いたことに5種類の凸多面体は折れるという.ラテンクロスは5通りの多面体になる多角形というわけである.

  [参]ドメイン&オルーク「幾何的な折りアルゴリズム<リンケージ,折り紙,多面体>」上原隆平訳,近代科学社

によれば,それらは,2重に合わさった平坦な四角形(二面体),不等辺四面体,五面体,立方体,不等辺八面体である.

[1]5通りの多面体になる多角形

({e0,e3),{e1,e2},{e4,e13}.{e5,e6},{e7,e12},{e8,e11},{e9,e10})

({e0,e1),{e2,e3},{e4,e13}.{e5,e6},{e7,e12},{e8,e11},{e9,e10})

({e0,e3),{e1,e2},{e4,e9}.{e5,e8},{e6,e7},{e10,e13},{e11,e12})

({e0,e3),{e1,e2},{e4,e7}.{e5,e6},{e8,e9},{e10,e13},{e11,e12})

 さらに85通りの折り方で互いに異なる23種類もの多面体を折ることができると聞くと多くの人にとって大きな驚きなのではなかろうか.

[2]23通りの多面体になる多角形

[3]2通りの多面体になる多角形

({e0,e3),{e1,e2},{e4,e9}.{e5,e8},{e6,e7})

({e0,e5),{e1,e2},{e3,e4}.{e6,e7},{e8,e9))

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【1】重なる展開図?

 正四面体を辺で切り開いた展開図は2通り,立方体と正八面体の展開図は11通り,正12面体と正20面体では43380種類もの展開図が存在することは古くから知られていた.

[4]立方体の11通りの展開図

 しかし,この中には重なる展開図はひとつもないのである.これらすべてが重ならない展開図であることが証明されたのは2011年のことであるそうだ.

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【2】複数の箱が折れる展開図

 2通りのは個が折れる展開図は存在するだろうか.1999年,ビードルは2つの解を得た.

[5]2通りの直方体を折ることのできる多角形

 2008年,上原隆平先生(現MIT)は2通りの箱が折れる展開図は無限に存在することを証明し,2000個以上の解を発見した.2012年,(体積が0でない)異なる箱を3種類折れる展開図も無限個存在することが証明されている.

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【3】複数の多面体が折れる展開図

[6]正四面体と直方体を折ることのできる多角形

1辺の長さが2の正四面体と辺の長さが1×1×1.23(=√3−1/2)の直方体.

[7]正八面体と四面体を折ることのできる多角形

[8]立方体とほぼ正四面体を折ることのできる多角形

 ほぼ正四面体とはすべての面が合同な四面体で,辺の長さの誤差は高々2.89×10^-1796である(相当0に近い).

 ある意味,立方体と正四面体を折ることのできる展開図が存在することは示されたが,正四面体以外の複数の正多面体を折れる共通の展開図は存在するだろうか?

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