■高次元図形の研究法(その1)
【1】高次元図形の研究法
高次元の多胞体を研究するためのmethodologyとして[1]組み合わせ位相幾何学的方法,[2]グラフ理論を用いる方法,[3]群論的方法,[4]個々に構成する方法,[5]計量的な方法などがあげられる.
[1][2]の範囲内だけで高次元の壁を越えることが可能なのか,私は知らない.[3]はコクセターが整理した方法で,最もエレガントだと思うけれども,研究の敷居を高くしてしまったことは残念である.また,正多胞体のもつ高度の対称性を活用するので正多胞体ではうまくいったが,準正多胞体に対しては完全に成功しているとは言い難い.
そこで,[4]乙部は実際に4次元準正多胞体の針金模型を組み立てて,準正多胞体の頂点図形について研究した(局所幾何学の嚆矢).ただし,その方法を5次元以上に拡張するのは困難である.これまでのところ,最も成功していると思われる方法は[5]石井による計量的な方法である.彼のCGはrealityの高い図形を提供してくれるので,見る人のimaginationを掻き立て,多くのinspirationを生み出すことができる.
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【2】高次元結晶の大域幾何学
ところで,[3][4][5]に共通してみられるideaに「ワイソフ構成」がある.ワイソフ構成はコクセターが初めて用いた用語であるが,石井はそれを知らずにワイソフ構成を進化させた形で再発見したことになる.しかし,高次元図形の解析にはまだまだ不十分であって,数学的に昇華された形にしなければならない.
私はこれまで準正多胞体の単なる識別子とみられていたワイソフ・コードを「遺伝子」とみなすことによって基本情報(k次元面数や体積)を引き出す方法について紹介した.いわば[6]遺伝的な方法である.そのアルゴリズムを機械的・盲目的に適用することによって,高校生でも高次元情報を計算できるようになることから「ワイソフ算術」と名付けた.たとえば,任意に選んだ6次元準正多胞体{33334}(010110)のfベクトルは(f0,f1,f2,f3,f4,f5)=(5760,23040,32160,19680,5276,412)で与えられる.
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