■単体の体積(その5)
【5】正5胞体と五角形
4次元空間の単体(5胞体)の体積は係数1/24を除いて行列式
24|V|=|1 1 1 1 1 |
|x11 x21 x31 x41 x51|
|x12 x22 x32 x42 x52|
|x13 x23 x33 x43 x53|
|x14 x24 x34 x44 x54|
で表されます.
ここで,右辺の第i列から第i+1列を引く操作をxi=1,2,3,4の順に繰り返すと
24|V|=|x11−x21 x21−x31 x31−x41 x41−x51|
|x12−x22 x22−x32 x32−x42 x42−x52|
|x13−x23 x23−x33 x33−x43 x43−x53|
|x14−x24 x24−x34 x34−x44 x44−x54|
この転置行列を右からかけると
24^2V^2=|Σ(xik−xi+1k)(xjk−xj+1k)|
=|ai↑・aj↑|
すなわち,グラミアンで与えられます.
さらにここで正5胞体(各辺の長さを1,各内角をθ)とすると,
ai↑・ai↑=1,ai↑・ai+1↑=cos(π−θ)=−cosθ
後者をxとおくと,x+y=−1/2なるx,yについて
24^2V^2=|1 x y y|
|x 1 x y|
|y x 1 x|
|y y x 1|
となります.
この行列式はx,yについて対称式であり,
x^4−2x^3y−x^2y^2+y^4+4x^2y+4xy^2−3x^2−3y^2+1
と展開されます.これが
(x^2−3xy+y^2+x+y−1)(x^2+xy+y^2−x−y−1)
さらに,黄金比:τ=(√5+1)/2,τ^(-1)=(√5−1)/2を用いると
(τx−τ^(-1)y−1)(τ^(-1)x−τ^(-1)y+1)(x^2+xy+y^2−x−y−1)
と因数分解できます.これは計算機による数式処理の初歩の演習問題といえるでしょう.
この正5胞体が3次元に退化する条件は
V=0,x+y=−1/2
を解くことにより,
x=(√5−1)/4,−(√5+1)/4
すなわち,
θ=108°(正五角形)または36°(星形五角形)
となり,3次元を通り越して一挙に2次元まで退化してしまいます.すなわち,正5胞体は平面の正五角形と星形五角形の中間の4次元図形と解釈できるというわけです.
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