■病理形態学原論と・・・(その10)
n次元格子の幾何学的分類をボロノイ細胞を使って考えると、n次元空間充填図形の基本形が2(2^n−1)面体になることをイメージできるようになります.
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【1】レンガのブロック積み
立方体は単独で空間全体を格子状に埋めつくすことができる.このことはこれ以上説明するまでもないだろう.次に,立方体を1つおきに黒と白に塗り分けて市松模様をつくる.その後で黒立方体を除いてみると,空になった隙間を白立方体の正方形を底面とし隙間の中心を頂点とする6つの四角錐に分けられることに気づくだろう.
白い立方体と6つの四角錐を一緒にすると菱形十二面体ができあがる.空間全体を菱形十二面体で埋めつくすことができるから,菱形十二面体も空間充填多面体である.菱形十二面体の頂点には4つの立体が出会うものと6つの立体が出会うものの2種類あることになる.
どの頂点でも最低4つの多面体が出会わなければならないというのがルベーグの舗石定理である.3つでは不可能であるから当たり前だといわれるかもしれないが,それでは,
[Q]すべての頂点で4つの多面体が出会うことは可能だろうか?
このような多面体を見つけるためにレンガのブロック積みを考える.3つのレンガが1点で出会うように平面を敷き詰めると,すべてのレンガは6つのレンガに接することがわかる.2段目も1段目と同じように敷き詰めるが,1段目のレンガのすべての頂点を2段目のレンガで覆うようにずらして積み重ねると,1段目のレンガの上には4つのレンガが載ることになる.
3段目も同様に行うと同じ段に6,上の段に4,下の段にも4で合計14のレンガに接することになる.このことからレンガは元々14面体であって,それが普通のレンガの形に圧縮されたものと考えることができる.
元々の圧縮されない形を考えると切頂八面体に到達するが,切頂八面体はすべての頂点に3つの辺が集まる単体的多面体である.そのため,切頂八面体が空間を合同な部分に分割する際,どの頂点でも4つの切頂八面体が出会うようになっていて,安定かつ面数が最大の空間充填多面体となるのである.
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【2】高次元レンガのブロック積み
2次元空間充填の基本形は6角形,3次元空間充填多面体の基本形は14面体となるのだが,それでは
[Q]4次元,5次元,・・・,n次元での空間充填多面体の基本形はどうなるのだろう?
2次元では2+2+2=6
3次元では4+6+4=14
4次元では8+14+8=30
5次元では16+30+16=62
ここで「n次元の舗石定理」をまとめておきたい.
[1]n次元空間充填では,各頂点の周りに少なくともn+1個の多面体が集まる(ルベーグ).
[2]n+1個のとき,ボロノイ細胞の面数は最大2(2^n−1)個で,安定な空間充填となる(コンウィイ).
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