■レムニスケートの幾何学(その127)
第1種楕円積分
F(k,φ)=∫(0,φ)dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)
において,φ=π/2としたものが第1種完全楕円積分
K(k)=F(k,π/2)
である.
K(k)をkのベキ級数に展開した式を実際に計算してみると,収束が遅くてもどかしい.そこで,収束加速法のひとつとしてはランデン変換を導入したい.
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まず,母数kに対して,補母数
k’=(1−k^2)^1/2
を導入する.次に,
k1=(1−k’)/(1+k’),k’=(1−k1)/(1+k1)
とおく.以下,k1が変換後の母数となることを示す.
ランデン変換というのは,積分変数の変換
sinθ1=(1+k’)sinθcosθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)を行うことである.
この式から
cosθ1=(1−k’)sin^2θ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)
(1-k’^2sin^2θ1)^(1/2)={1−(1−k’)sin^2θ}/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)
がでてくるが,これらを組み合わせて
tanθ1=(1+k’)sinθcosθ/{1−(1−k’)sin^2θ}
tan(θ1−θ)=(tanθ’−tanθ)/(1+tanθ’tanθ)=k’tanθ
が得られる.これがキモである.
微分すると
sec^2(θ1−θ)(dθ1−dθ)=k’sec^2θdθ
dθ1=(1+k’){1−(1−k’)sin^2θ}/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)dθ
結局,
dθ1/(1-k1^2sin^2θ)^(1/2)=(1+k’)・dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)
1+k’=2/(1+k1)
dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)=(1+k1)/2・dθ1/(1-k1^2sin^2θ)^(1/2)
と書けることがわかる.
すなわち,第1種楕円積分が母数の小さい同種の楕円積分に帰着されるのである.到達した漸化式は
F(k,φ)=(1+k1)/2・F(k1,φ1)
である.
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完全楕円積分
K(k)=F(k,π/2)
の場合,
φ=0→φ1=0
φ=π/2→φ1=π
左右対称であるから
F(k,π/2)=(1+k1)/2・F(k1,π)=(1+k1)F(k1,π/2)
こうして,漸化式
K(k)=(1+k1)K(k1)
が得られる.これを繰り返せば母数は急速に0に,Kはπ/2にちかづくのであるから
K(k)=(1+k1)(1+k2)(1+k3)・・・π/2
なる無限乗積の形に書くことができるというわけである.
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