■レムニスケートの幾何学(その115)

【補】ヤコビの楕円関数

 この節ではヤコビの楕円関数について補足説明することにします.ヤコビは,第1種不完全楕円積分

  f(x)=1/{(1-x^2)(1-k^2x^2)}^(1/2)

  ω=F(z)=∫(0-Z)f(x)dx

に対して,正弦関数をまねてF^(-1)(ω)をsnω=F^(-1)(ω)と定義し,

  sn^(-1)z=∫(0-Z)f(x)dx

を得ました.

 また,三角関数にならって

  cnω=√(1-sn^2ω),dnω=√(1-k^2sn^2ω)

と定義しました.関数sn,cn,dnがヤコビの楕円関数ですが,少し複雑な三角法と思えばよく,三角関数同様,ヤコビの楕円関数からはいろいろな加法公式を導き出すことができます.

 なお,第1種不完全楕円積分において,k→0とすると,

  K(0)=∫(0-Z)f(x)dx=sin^(-1)z

k→1とすると,

  K(1)=∫(0-Z)f(x)dx=tanh^(-1)z

ですから,snωはsinωとtanhωの中間に位置していることがわかります.

 

 実際にベキ級数展開を求めると,

  snω=ω-(1+k^2)/6ω^3-(3+2k^2+3k^4)/40ω^5+・・・

が得られます.

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