レムニスケートサインとワイエルシュトラスのペー関数の関係は,
sl(z)=-2p1(z)/p1’(z)
sl’(z)=(4p1(z)^2-1)/(4p1(z)^2+1)
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【1】レムニスケート積分からワイエルシュトラスの標準形へ
レムニスケート周長
∫1/(1-x^4)^(1/2)dx
の5等分問題を扱うには,2008年に行った定式化ではうまくいきそうになく,ワイエルシュトラスの標準形
∫(∞,0)du/(4u^2-g2u-g3)^(1/2)
の特別な場合として扱ったほうが容易であった.
∫(0,x)1/(1-x^4)^(1/2)dx
は変数変換
x=1/√z,dz=-z^(-3/2)/2dz
により
∫(x,∞)1/(4z^3-4z)^(1/2)dz
となる.これは慣用の記号でg2=4,g3=0のワイエルシュトラスの標準形である.
ワイエルシュトラスのペー関数p(u)を単にpと略記すると
[1]微分方程式は
(p’)^2=4p^3-4p
p”=6p^2-2
p^(3)=12pp’
p^(4)=120p^3-72p
[2]加法定理
p(u+v)=-p(u)-p(v)+1/4{(p’(u}-p’(v})/(p(u}-p(v})}^2
は,v→uの極限で倍角公式
p(2u)=-2p(u)+1/4{p”(u}/p’(u}}^2
=-2p+1/4・(6p^2-2)^2/(4p^3-4p)
=(p^4+2p^2+1)/(4p^3-4p)
を得る.
以下,v→2u,3u,4uとすると3倍角,4倍角,5倍角公式が得られる.それとて加法公式が格段と簡単になるわけではないが,レムニズケートサインの有理関数表現と同様になることがわかるだろう.
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【2】∫1/(1-x^6)^(1/2)dx
レムニスケート周長
∫1/(1-x^4)^(1/2)dx
の5等分問題を扱う前に,
∫1/(1-x^6)^(1/2)dx
について考えてみたい.
変数変換
x=1/√z,dz=-z^(-3/2)/2dz
により
∫(x,∞)1/(4z^3-4)^(1/2)dz
となる.これは慣用の記号でg2=0,g3=4のワイエルシュトラスの標準形である.
ワイエルシュトラスのペー関数p(u)を単にpと略記すると
[1]微分方程式は
(p’)^2=4p^3-4
p”=6p^2
p^(3)=12pp’
p^(4)=120p^3-48
[2]加法定理
p(u+v)=-p(u)-p(v)+1/4{(p’(u}-p’(v})/(p(u}-p(v})}^2
は,v→uの極限で倍角公式
p(2u)=-2p(u)+1/4{p”(u}/p’(u}}^2
=-2p+1/4・(6p^2)^2/(4p^3-4)
=(p^4+8p)/(4p^3-4)
を得る.
∫1/(1-x^6)^(1/2)dxは1/2・∫1/(x^3-1)^(1/2)dxに帰着されたが,このことから
r^3=cos(3t)
は定規とコンパスだけで弧長を1/3,1/5,・・・倍にする作図が不可能であることが示される.
∫(0,z)1/(1-x^3)^(1/2)dx
は,第1種楕円積分の標準形(ヤコビの形)
F(k,φ)=∫(0,φ)dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)
を使うと
∫(0,z)1/(1-x^3)^(1/2)dx=1/4√3F(k,φ)
φ=arccos((√3-1+x)/(√3+1-x))
k=(√3+1)/2√2
∫(0,z)1/(x^3-1)^(1/2)dx
は,
∫(0,z)1/(x^3-1)^(1/2)dx=1/4√3F(k,φ)
φ=arccos((x-√3-1)/(x+√3-1))
k=(√3-1)/2√2
と表される. 一松,数学公式Ⅰ,p148,岩波
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