■レムニスケートの幾何学(その23)
レムニスケート(連珠形)には円に共通する性質があり,定規とコンパスだけで奇数のn等分することができる必要十分条件はnがフェルマー素数(n=22^m+1の形の素数:3,5,17,257,65537)であることはよく知られている.ガウスはレムニスケートの等分問題から楕円関数を発見している.言い替えれば,方程式論には楕円関数論という背景があったのである.
しかし,この方程式を解くことは言うは易しいが,実行するにはかなり忍耐がいる.私も1回だけやってみたが結果はMathematicaなしには到達できなかったのも事実である.
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(5−2s^4+s^8)(1−12s^4−26s^8+52s^12+s^16)=0
すなわち
5−62s^4−105s^8+300s^12−125s^16+50s^20+24s^24=0
は本質的にはs^4に関する2次と4次の方程式である.
畏友・阪本ひろむ氏にお願いしてMathematicaで計算してもらったところ,
1−12s^4−26s^8+52s^12+s^16=0
の根として,
{−13+6√5−2(85−38√5)^1/2}^1/4=0.52047
となった.
一方,
p(5u)=1
を解いて,
p(u)=w,z=1/√w
とすると,
w=(2+√5+√(5+2√5))+√(−1+(2+√5+√(5+2√5))^2)=14.5588 (作図可能)
c=2+√5+√(5+2√5)
とおくと
z={c−(c^2−1)^1/2}^2=0.262082
となって,両者は一致しない.
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よくよく眺めてみると,
(5−2s^4+s^8)(1−12s^4−26s^8+52s^12+s^16)=0
は,s=sl(2ω/5)とおいたものであって,s=sl(ω/5)としたものではない.
sl(2ω/5)=2sl(ω/5)(1−sl^4(ω/5))^1/2/(1+sl^4(ω/5))
であって,
sl(ω/5)=0.262082
より,一致することがわかった.
レムニスケートサインを用いた計算もワイエルシュトラスのペー関数を用いた計算も正しかったわけである.やれやれ.
ガウスの計算例では次数n^2の方程式が得られるとのことであるが,ガウスのように分割の仕方を変えて計算すると,次数が下がるとか何かアドバンテージがあるのだろうか?
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