■レムニスケートの幾何学(その19)
2等分点はp(u)=1+√2 (作図可能)
3等分点はp(u)=1+√3+√(3+2√3) (作図可能)
さらに,
p(5u)=1
を解いて,
p(u)=w,z=1/√w
とすると,
w=(2+√5+√(5+2√5))+√(−1+(2+√5+√(5+2√5))^2)=14.5588 (作図可能)
(その18)では結果のみ示したが,計算方法も示しておきたい.
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【1】レムニスケート積分からワイエルシュトラスの標準形へ
しかし,5等分点ともなると,Mathematicaで展開しても言葉が一切入らない数式が数ページにもおよび,どうしても5等分点は得られなかった.レムニスケート周長の5等分問題を扱うには,レムニスケートサインによる定式化ではうまくいきそうになく,ワイエルシュトラスの標準形
∫(∞,0)du/(4u^2-g2u-g3)^(1/2)
の特別な場合として扱うことにした.ワイエルシュトラスのペー関数pの加法公式は,レムニズケートサインの場合とは異なり,有理関数となるから,計算上のアドバンテージが得られるからだ.
∫(0,x)1/(1-x^4)^(1/2)dx
は変数変換
x=1/√z,dz=−z^(-3/2)/2dz
により
∫(x,∞)1/(4z^3-4z)^(1/2)dz
となる.これは慣用の記号でg2=4,g3=0のワイエルシュトラスの標準形である.
ワイエルシュトラスのペー関数p(u)を単にpと略記すると
[1]微分方程式は
(p’)^2=4p^3−4p
p”=6p^2−2
p^(3)=12pp’
p^(4)=120p^3−72p
[2]加法定理
p(u+v)=−p(u)−p(v)+1/4{(p’(u}−p’(v})/(p(u}−p(v})}^2
は,v→uの極限で倍角公式
p(2u)=−2p(u)+1/4{p”(u}/p’(u}}^2
=−2p+1/4・(6p^2−2)^2/(4p^3−4p)
=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)
を得る.
以下,v→2u,3u,4uとすると3倍角,4倍角,5倍角公式が得られる.ここで,レムニスケートの4半弧を定規とコンパスで2等分できることを示すために
p(2u)=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)
において,p(u)=p,p(2u)=1とおく.すると,
(p^4+2p^2+1)=(4p^3−4p)
より,p=1+√2=z
x=1/√z=(-1+√2)^1/2=0.643594(→作図可能)
こうして,ファニャーノはレムニスケートの四半弧を同じ長さの2つの弧へ分解することができることを示した.もう一度この手続きを繰り返すと4半角公式,2等分を3回繰り返すと8半角公式,・・・.これによって1/2^n倍に対する値が導かれる.
p(2u)=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)=1+√2
を解く.解析解はとても長くなるが,作図可能であることを示すことができる(近似解のみを示すと,p=9.33034).引き続き
p(2u)=(p^4+2p^2+1)/(4p^3−4p)=9.33034
を解いて,p=37.2407.
2等分点はp(u)=1+√2 (作図可能)
3等分点はp(u)=1+√3+√(3+2√3) (作図可能)
さらに,
p(5u)=1
を解いて,
p(u)=w,z=1/√w
とすると,
w=(2+√5+√(5+2√5))+√(−1+(2+√5+√(5+2√5))^2)=14.5588 (作図可能)
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【2】∫1/(1-x^6)^(1/2)dxの場合
ついでに
∫1/(1-x^6)^(1/2)dx
について考えてみたい.変数変換
x=1/√z,dz=−z^(-3/2)/2dz
により
∫(x,∞)1/(4z^3-4)^(1/2)dz
となる.これは慣用の記号でg2=0,g3=4のワイエルシュトラスの標準形である.
ワイエルシュトラスのペー関数p(u)を単にpと略記すると
[1]微分方程式は
(p’)^2=4p^3−4
p”=6p^2
p^(3)=12pp’
p^(4)=120p^3−48
[2]加法定理
p(u+v)=−p(u)−p(v)+1/4{(p’(u}−p’(v})/(p(u}−p(v})}^2
は,v→uの極限で倍角公式
p(2u)=−2p(u)+1/4{p”(u}/p’(u}}^2
=−2p+1/4・(6p^2)^2/(4p^3−4)
=(p^4+8p)/(4p^3−4)
を得る.
p(2u)=(p^4+8p)/(4p^3−4)=1
より,p=1+√3=z
x=1/√z=((-1+√3)/2)^1/2
p(2u)=(p^4+8p)/(4p^3−4)=1
より,p=1+√3=z(→作図可能).
次に
p(2u)=(p^4+8p)/(4p^3−4)=1+√3
を解く.解析解はとても長くなる.近似解のみを示すと
p=10.8517
引き続き
p(2u)=(p^4+8p)/(4p^3−4)=10,8517
を解いて,p=43.4021.
すなわち,この曲線は定木とコンパスで弧長が2等分,4等分,8等分できることがわかったが,3等分点は
p(u)=2+2・2^1/3+^2/3
で作図不可能であることも示される.
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【3】∫1/(1-x^3)^(1/2)dxの場合・・・第1種楕円積分の標準形への還元
積分
I=∫(c,1)dx/(1−x^3)^1/2
を考える.変換
y=(λx+μ)/(νx+ρ),x=(−ρy+μ)/(νy−λ)
を適当に選ぶことにより,常に
dy/(1+my^2+ny^4)^1/2
の形に還元できる.
λ=−1,μ=1−√3,ν=1,ρ=−1+√3
x=cに対するyの値を
y1=(c−1+√3)/(−c+1+√3)
とおくと
I=1/4√3∫(y1,1)2dy/((1−y^2)(2−√3+(2+√3)y^2)^1/2
ここで,y^2=1−z^2,z1^2=1−y1^2とおくと第1種楕円
I=1/4√3∫(0,z1)dz/((1−z^2)(1−k^2z^2)^1/2=1/4√3F(k,φ1)
となる.ただし,
k=(√2+√6)/4,k^2=(2+√3)/4
φ1=arccos((c−1+√3)/(−c+1+√3))=arcsin((1−y1^2)^1/2)
sinφ1=z1,z1=(1−y1^2)^1/2
c=1→z1=0
c=0→z1=(4√3−6)^1/2=α
ところで,第1種楕円積分の標準形
F(k,x)=∫(0,x)1/{(1-x^2)(1-k^2x^2)}^(1/2)f(x)dx
については加法公式が使える.これで,この曲線の弧長を求める問題は,加法公式
z={x(1+my^2+ny^4)^1/2+y(1+mx^2+nx^4)^1/2}/(1−nx^2y^2)
m=−(1+k^2),n=k^2,α=(4√3−6)^1/2
の問題に還元されたことになる.
倍角公式
x’=2xy/(1−nx^4)=2x(1+mx^2+nx^4)^1/2/(1−nx^4)
より,2等分点に対応する楕円曲線上の点
2x(1+mx^2+nx^4)^1/2/(1−nx^4)=α
の解をx=βとすると,
1−((c−1+√3)/(−c+1+√3))^2=β^2
c=√3+1−2√3/((1−β^2)^1/2+1)
がこの曲線の2等分点である.
2x(1+mx^2+nx^4)^1/2/(1−nx^4)=α
を求めたところ,解析解
x=−1+√3
が得られた.
したがって,2等分点は
c=√3+1−(2√3+3)(1−√(2√3−3)=0,671618(→作図可能).4等分点,8等分点も同様に計算することができる.
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