■レムニスケートの幾何学(その3)

【3】ワイエルシュトラス積分の加法定理

 3次曲線:y^2=4x^3−g2x−g3はワイエルシュトラスのペー関数:x=p(u),y=p’(u)によってパラメトライズされます.

 ワイエルシュトラスのペー関数は1階の非線形微分方程式

  (y’)^2=4y^3−g2y−g3

の解ですが,その逆関数は

  F(x)=∫(0,x)dt/(4t^3−g2t−g3)^1/2

となります.

 F’の逆数:y^2=4x^3−g2x−g3をとり,xとyを交換するとx^2=4y^3−g2y−g3yになりますから,このことからFがy^2=4x^3−g2x−g3の逆関数であることがおわかり頂けるでしょう.

 楕円積分

  F(x)=∫(0,x)dt/(4t^3−g2t−g3)^1/2

は楕円関数の基礎として最も便利な積分であって,その加法定理

  F(x1)+F(x2)=F(x3)

において,x3はP1(x1,y1),P2(x2,y2)を通る直線上の

  y^2=4x^3−g2x−g3

を満たす点P3(x3,y3)のx座標

  x3=−(x1+x2)+((y2−y1)/(x2−x1))^2/4

となります.また,このことからP1,P2が有理点ならばP3も有理点であることがわかります.

 この式は楕円関数fの加法定理を与える式でもあります.加法定理とはf(u1+u2)をf(u1)とf(u2),f’(u1)とf’(u2)を使って表す公式ですが,この場合,f(u1)=x1,f(u2)=x2,f’(u1)=y1,f’(u2)=y2に対して,x3=f(u1+u2)となる楕円関数によって,この3次曲線:y^2=4x^3−g2x−g3はx=f(u),y=f’(u)とパラメトライズされます.x3を求める操作=パラメータu1,u2の加法と解釈することができるというわけです.

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