■交角60°(その6)

【3】空間における極大格子

 以上は,平面上の点の配置の分析ですが,3次元の空間中の点の配置についても同様の議論となります.なぜなら,立方格子をゆがめて,すべての辺の長さの等しい平行六面体格子をつくってみると,平行六面体も空間充填多面体の1つとなるからです.

 平面において正三角形が果たしたのと同じ役割を,今度は正四面体が受け持つのですが,平行六面体の体積は,スカラー三重積a・(b×c),すなわち,ベクトルaと外積b×cの内積で与えられるますから,辺a,b,cが互いに60°の角度をなすようにすると,平行六面体の体積は

    |d^2  d^2/2  d^2/2|

  G=|d^2/2  d^2  d^2/2|=1/2d^6=1=V^2

    |d^2/2  d^2/2  d^2|

 したがって,基本平行六面体の体積が1の空間単位格子を考えてみると,最小値は

  r=6√2=1.1225

となります.

 このとき,基本平行六面体は2つの正四面体にこれと等しい辺をもつ正八面体をつなぎ合わせてできる斜方平行六面体であって,最密充填格子状球配置は配位数12の面心立方格子で,その充填率は,

  √2π/6=.7405

と計算されます.

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