■交角60°(その5)
【2】平面における極大格子
面積1の任意の平行四辺形を基本領域とする平面上の単位格子について考察してみることにしましょう.
最小距離をdとし,この距離を実現する格子点は(d,0)としても一般性を失うことはありません.すると,もう一方の基底を(x,1/d)とすることができます.このとき,1/dは明らかに1辺dの正三角形の高さに等しくなければなりません.そうしないと(x,1/d)のほうが原点に近くなるからです.
したがって,
1/d≧d/2√3
より,
d≦4√(4/3)
が得られます.
よって,極大格子は面積1/2の2つの正三角形を合わせた形の平行四辺形になりますが,この格子は与えられた最小距離に対して,面積のもっとも小さい基本平行四辺形です.
このときのグラミアンGを計算してみましょう.
G=|d^2 d^2/2|=3/4d^4=1=S^2
|d^2/2 d^2|
よって,S=1が確かめられます.
基本領域の最小体積を決定する問題は,基本領域の中にある格子点の密度を最大にすること考えることができますから,これで,
「与えられた最小距離ともつすべての格子に中で,格子点密度のもっとも高いものは,正三角形格子である」
ことが証明されたことになります.
実際にすべての格子点を中心として,この格子点の最小距離の半分を半径とする円を描いてみると,互いに接してはいるが決して重なり合わない最密円配置が得られます.この円配置の稠密度は
π/√12=0.907
と計算されます.
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