■三角形の初等幾何学(その33)
三角形の5心とは内心,傍心,重心,外心,垂心を指しますが,古代ギリシャ人は5心について知っていました.その1500年後,フェルマー点が発見され,さらに1〜2世紀後に9点円の中心,その次がジェルゴンヌ点,19世紀にはいるとナーゲル点やブロカール点などが発見されました.
===================================
【1】三角形の5心(はじめに三角形ありき)
三角形の5心とは内心,傍心,重心,外心,垂心を指しますが,内心は内角の2等分線,傍心は1内角と2外角の2等分線,重心は中線,外心は辺の垂直2等分線,垂心は頂点から対辺への垂線が1点に会した共点です.
このうち,三角形の内心は3辺への距離のうちで一番小さいものが最大となる点(マックスミニ点),外心は3頂点に至る最大距離が最小となる点(ミニマックス点)です.同様に,垂心は三角形に内接する三角形の周長が最小になる点,重心は3頂点に至る距離の2乗の和が最小となる点です.
===================================
【2】オイラー線
3点あるいはそれ以上の点が一直線上にあることを主張する定理は共線定理と呼ばれます.たとえば,三角形の外心と重心と垂心はその順番に一直線上に並んでいて,外心と垂心を結ぶ線分が重心によって1:2に内分されています.この共線はオイラー線と呼ばれています。
===================================
【3】9点円の中心
三角形の中心を定める方法は主として4つあり,それぞれ異なる場所にある(正三角形の場合,4点はすべて一致する).垂心,外心,重心,最後が9点円の中心で,9点円は各辺の中心と垂線の足を通る.
外心と重心の中点はフォイエルバッハの9点円の中心であり,フォイエルバッハの9点円は各辺の中点,各頂点から対辺へ下ろした垂線の足,頂点と垂心の中点の9個の点を通る円となっています(1821年:ポンスレとブリアンション).
このことから,オイラー線(1767年)は外心・重心・垂心・フォイエルバッハの9点円の中心を相互に結ぶ直線ということになりますし,フォイエルバッハの9点円の中心はオイラー線の中点で,その半径は外接円の半径の半分となります.また,三角形の外心と重心と9点円の中心と垂心はその順番に一直線上に並んでいて,外心と垂心を結ぶ線分が重心と9点円の中心によって2:1:3に内分されています.
さらに,フォイエルバッハの9点円が三角形の内接円と傍接円の各々に接する,9点円には他にも多くの特別な点が含まれているなど,三角形のような簡単な図形が無数に未知の性質を有することはまことに不思議なことです.
[参]前原潤,桑田孝泰「知っておきたい幾何の定理」共立出版
に9点が同一円周上の存在することのエレガントな証明が掲げられています.
===================================