■三角形の初等幾何学(その4)
【3】ヘロンの公式
任意の三角形の三辺の長さをa,b,c,面積をΔとすると,外接円の半径Rおよび内接円の半径rは
abc=4R△,
(a+b+c)r=2△
で表されますが,ここで2s=a+b+cとおくと,Δ=rs
Δ^2=s(s−a)(s−b)(s−c)
となり,おなじみの平面三角形のヘロンの公式が得られます.
ヘロンの公式は,また,
16Δ^2=(2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2−a^4−b^4−c^4) =(a+b+c)(−a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)
とも表されます.
(問題)R≧2r 等号は正三角形のときに限る.
(証明)
外接円と内接円の中心間の距離をdとおくとき,
R^2−2Rr=d^2
が成り立っています(オイラーの定理).この関係式を導き出せば,ただちにR≧2rがわかるのですが,この関係式を導き出すことは見かけよりもやっかいで,ヘロンの公式を使ったほうがほうが簡単です.
外接円の半径Rおよび内接円の半径rをa,b,c,Δで表すと,
abc=4RΔ (正弦定理)
(a+b+c)r=2Δ (寄木細工定理)
ここで,
s1=a+b+c,
s2=ab+bc+ca,
s3=abc
とおくとき,R≧2rは
s1s3≧16Δ^2
s1^3−4s1s2+9s3≧0
と同値.
実際にやってみると
s1^3−4s1s2+9s3=1/2[(b−c)^2(b+c−a)+(c−a)^2(c+a−b)+(a−b)^2(a+b−c)]≧0
b+c−a>0,c+a−b>0,a+b−c>0ですから,等号はa=b=cのときに限ることがわかります.
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