■0<x^y−y^x<1(その25)

 美しい対称性を保っている累乗数a^bとb^aについて考えることにする.まず,

 16=2^4=4^2

は特異な関係である.これ以外のどんな数もa^b≠b^aであるからである.

 それならは差1を許すことにする.9=3^2と8=2^3は連続する累乗数である.3^2と2^3のように連続する累乗数も特異な関係である.これ以外のどんな数もa^b−b^a≠1であるからである.

 a^bとb^aではないが,平方数と立方数を考えてみる.

  5^2+1=26=3^3−1

26以外に平方数と立方数に挟まれる数はないのである.

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【1】カタラン予想

 ベルギーの数学者カタランは,カタラン数やカタランの立体(準正多面体の双対)でその名を知られています.1844年,カタランは方程式:

  x^p−y^q=1

の整数解が(x,y,p,q)=(3,2,2,3)だけである,すなわち,8と9だけが唯一連続するベキ乗数であるということであると予想しました.  3^2−2^3=1

ですが,それに証明を与えることはできませんでした.

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【2】カタラン予想の攻略

 この問題には長い歴史があります.ビトリーは平方数と立方数で1違うものは(1,2)(2,3)(3,4)(8,9)しかないと指摘,ゲルションは3^m±1(m>2)は必ず奇数の素因数をもつため,2の累乗にはならないことを証明してビトリーの正当性を明らかにしました.

 ベルゲンは1320年頃,

  3^p−2^q=1

ならば(p,q)=(2,3)であることを証明しました.

 1734年,オイラーは,

  x^2−y^3=1

ならば(x,y)=(3,2)であることを示しました.しかし,カタラン予想は4以上の累乗も認められているので,こうした結果だけでは証明できません.

 p=2,q=3(オイラー,1738年),q=2(ルベーグ,1850年),p=3,q=3(ナゲル,1921年),p=4(セルバーグ,1932年),p=2(チャオ・コウ,1967年)などの研究があり,たとえば,x^p−y^2=1は正の整数解をもたないというのがルベーグの定理です.

 1976年,テイデマンはベーカーの先駆的仕事をもとにして,カタランの方程式にはたとえ解があるにしても有限個の解しかなく,その場合(p,q)は10^110より小さくなければならないことを証明しました.1999年,ミニョットは上限を10^16,下限を10^7の範囲まで大きく減らしました.

 しかし,これも大きすぎてコンピュータではチェックできす,証明は望み薄でした.

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