■Φ(x)=Π(1-x^k)とm角数定理(その3)

 オイラーの恒等式(5角数定理)

  Π(1-x^n)=Σ(-1)^k・x^k(3k-1)/2

=1-x-x^2+x^5+x^7-x^12-x^15+x^22+x^26-x^35-x^40+x^54+x^57-x^70-x^77+x^92+x^100-・・・

の級数の係数はすべて1か-1であり,1が2つ,-1が2つ,・・・と繰り返すことがわかる.

 オイラー関数の2乗

  Π(1-x^n)^2=Σ(-1)^k・x^k^2・Σ(-1)^k・x^3k^2+k

=1-2x-x^2+2x^3+x^4+2x^5-2x^6-2x^8-2x^9+x^10+・・・

には特別な性質があるようにはみえない.

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【1】ガウスの恒等式(3角数定理)

 ところが,オイラーの発見から70年ほど経って,ガウスはオイラー関数の3乗

  Π(1-x^n)^3=Σ(-1)^k(2k+1)・x^k(k+1)/2

=1-3x+5^3-7x^6+9x^10-11x^15+・・・

を与えることを証明した.

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【2】ヤコビの恒等式(3重積公式)

 2変数のヤコビの恒等式(3重積公式)は

  Π(1+y^-1z^2n-1)(1+yz^2n-1)(1-z^2n)=Σy^kz^k^2

を使って,ガウスの恒等式(3角数定理)を導くことができる.

 同様に,ヤコビの恒等式を使って

  Π(1-x^n)^2/(1-x^2n)=Σ(-1)^k・x^k^2=1+2Σ(-1)^k・x^k^2

経由で

  Π(1-x^n)^2=Σ(-1)^k・x^k^2・Σ(-1)^k・x^3k^2+k

=1-2x-x^2+2x^3+x^4+2x^5-2x^6-2x^8-2x^9+x^10+・・・

も得られる.

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【3】クラインの恒等式とダイソンの恒等式(オイラーの恒等式のベキ)

 ここでは,

  Π(1-x^n)^d

を考える.

 たとえば,d=8では

  Π(1-x^n)^8=Σ(1/3+2(3klm-kl-km-lm)/3・x^-(kl*km+lm)   (クライン,フリッケ)

d=24では

  Π(1-x^n)^24=ΣΣΠ(ai-aj)/1!2!3!4!・x^(n-1)

  ai=i (mod5),a1+・・・+a5=0,a1^2+・・・+a5^2=10n^2

 d=3,8,10,14,15,21,24,26,28,35,36,・・・に対してはエレガントな公式があることが知られている.d(ヤコビ),d=8(クライン,フリッケ),d=10(ヴィンクィスト),d=14,26(アトキン),d=24(ダイソン),・・・

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【4】マクドナルドの恒等式(1972年)

 特別な指数dの謎は,1972年,イギリスのマクドナルドによって解決された(しかもすべての問題をきれいに片づけてしまった).ヤコビの恒等式は2変数であったが,その一般化である(n変数).

  Π(1-x1^k・・・xn^k)^(n-1)Π(1-x1^k・・・xn^k/xi・・・xj-1)(1-x1^k・・・xn^k/x1・・xi-1xj-1・・xn)

=Σε(k1,・・・.kn)x1^k1・・・xn^kn

とくに,d=n^2-1のとき(ガウスの恒等式,クラインの恒等式,ダイソンの恒等式の一般化),右辺は

 (-1)^(n-1)Σε(k1,・・・.kn)x1^k1・・・xn^kn

  Π(1-x^k・・・xn^k)^(n-1)Π(1-x1^k・・・xn^k/xi・・・xj-1)(1-x1^k・・・xn^k/x1・・xi-1xj-1・・xn)

=Σε(k1,・・・.kn)(k1,n-1)(k2,n-2)(kn-1,1)xn^kn

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