■レイリー・ヴィノグラードフの定理(その6)

  nγ=[nγ]+{nγ}

において,ワイルの一様分布定理とは,無理数γを与えたとき,nγの非整数部分{nγ},n^2γの非整数部分{n^2γ}のn=1,2,3,・・・としたときの分布についての定理で,

[1]γが無理数であれば{nγ}は区間[0,1)において一様分布する

[2]γが無理数であれば{n^2γ}は区間[0,1)で一様分布する

 レイリーの定理(ヴィノグラードフの定理)とは「α,βを1/α+1/β=1を満たす無理数,[]をガウス記号とするとき,2つの数列{an}={[nα]},{bn}={[nβ]}は共通項がなく,併せるとすべての整数1,2,3,・・・を与える.」というものです.

 1/α+1/β=1→β=α/(α−1)より,αとβは両方とも有理数か両方とも有理数のどちらかですか,両方とも無理数のとき,整数を分割するわけです.すなわち,実数αのスペクトルを,整数の集合

  Spec(α)={[α],[2α],[3α],・・・}α

で定義すると,α,βが無理数で1/α+1/β=1を満たすとき,そのときに限り,Spec(α)とSpec(β)は整数を分割するのですが,それでは,

(Q)Spec(α),Spec(β),Spec(γ)が整数を分割するような実数α,β,γは存在するでしょうか?

(A)不可能(存在しない).

 レイリーの定理は,

  1/α+1/β+1/γ=1

かつ

  {(n+1)/α}+{(n+1)/β}+{(n+1)/γ}=1

のとき,そのときに限り3分割が起こることを示している.

 しかし,ワイルの一様分布定理から,δが無理数のとき,{(n+1)/δ}の平均値は1/2である→矛盾.δが有理数(m/n)ならば,平均値は3/2−1/(2n)→矛盾.δが整数の場合もうまくいかない.すなわち,存在しないことを示している.

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