■曜星とアルベロス(その33)
アルベロスの円列の中心は楕円上にあることが知られている。メビウス変換を使ってその軌跡を求めてみたい。
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【3】シュタイナーの円
シュタイナーは反転法によって,鎖の間の連結する小円の半径やはじめの2つの円の中心間距離などの条件を求めた.
メビウス変換
w=(z+a)/(az+1)
したがって,w=0に写されるのはz=−a.z→∞に対する極限は1/a.z→−1/aに対する極限は∞.すなわち,z=−aは0に写り,z=−1/aは∞に写る.ゆえに,w平面の原点を通る直線はz=−aとz=−1/aを通る円の像である(−1<a<0).
円の中心は,x=−(a+1/a)/2上にあるから,
(x+(a+1/a)/2)^2+(y−y0)^2={(a−1/a)/2}^2+y0^2
また,その逆変換は
z=(−w+a)/(aw−1)
であるから,z=0に写されるのはw=aである.w→∞に対する極限は−1/a.w→1/aに対する極限は∞.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
他方,原点を中心とする同心円|w|=kは
|(z+a)/(az+1)|=k
で定義される円の像である.これはz=−aとz=−1/aの2点を極限点とするアポロニウスの円である.つまり,z=−aとz=−1/aの2点からの距離の比が一定な点の軌跡である.
|(z+a)/(az+1)|=|(z+a)|/|(az+1)|=|(z+a)|/|a||(z+1/a)|=k
より,2点
(−a,0),(−1/a,0)
からの距離の比が|a|k:1のアポロニウスの円となる.
(x+a)^2+y^2:(x+1/a)^2+y^2=a^2k^2:1
(x−a(1−k^2)/(1−a^2k^2))^2+y^2={k^2(1−a^2k^2)+a^2(1−k^2)^2}/(1−a^2k^2)^2
こうして,w=0を通る直線は(y軸に平行な直線上に中心をもつ)z=−a,z=−1/aを通る円に,|w|=kはその円に直交する円となる.このような円の族が作る図形を2点−aと−1/aで決まるシュタイナーの円という.
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【4】同心円への帰着
簡単にするため,
大円(半径1),小円(半径r),中心間距離d
最初の2円の直径端と中心がそれぞれ
[−1,0,1],[α,(α+β)/2),β] (α+β>0)
にあると仮定しても一般性は失われない.
1=(a+b)/(c+d)
−1=(−a+b)/(−c+d)
α=b/d
を解くと
w=(z+α)/(αz+1)
は半径1の円板をそれ自身に移し,[−1,0,1]はそれぞれ[−1,α,1]に移されることがわかる.(円板の中心が円板の中心に移されるわけではない).
このとき,[α,β]が[−r,r]に移されるためには,
(α+a)/(aα+1)=−(β+a)/(aβ+1)
より,aに関する2次方程式
a^2+2a(1+αβ)/(α+β)+1=0 (−1<a<0)
に帰着される.
a={−(1+αβ)±{(1−α^2)(1−β^2)}^1/2}/(α+β)
r=|(α+a)/(aα+1)|=|(β+a)/(aβ+1)|
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【5】閉包条件
これで半径rが求まった(R=1).((1+r)/2,0)を中心とした半径(1−r)/2の円が描けることから,1周して鎖が閉じるための条件は,
2arcsin((1−r)/(1+r))
が2πの整数分の1のときである.
n個の円で1周するならば,
2arcsin((1−r)/(1+r))=2π/n
(1−r)/(1+r)=sin(π/n)
r=(1−sin(π/n))/(1+sin(π/n))
で与えられる.
あるいは,n個の円で1周するならば,((R+r)/2,0)を中心とした半径(R−r)/2の円が描けることから,
(R+r)/2:(R+r)/2=1:sin(π/n)
R=r(1+sin(π/n))/(1−sin(π/n))
で与えられるとしてもよい.
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【6】オイラー・フース型定理の導出
メビウス変換
w=(z+a)/(az+1)
の逆変換は
z=(−w+a)/(aw−1)
である.
s=(1−sin(π/n))/(1+sin(π/n))
とおくと,
α=−(s+a)/(as+1)
β=(−s+a)/(as−1)
である.
これからsを消去する.第1式より
a=−(s+α)/(αs+1)
第2式に代入すると
β=(s(αs+1)+(s+α))/(s(s+α)+(αs+1))
β(2αs+s^2+1)−α(s^2+1)=2s
2αβs+(β−α)(s^2+1)=2s
ここで,
(α+β)/2=d,(β−α)/2=r
より,
α=d−r,β=d+r
を代入すると
d^2−r^2+r(s+1/s)=1
d^2=r^2−r(s+1/s)+1
大円(半径R),小円(半径r),中心間距離d
では
d^2=r^2−rR(s+1/s)+R^2
これがシュタイナーの定理に対応するオイラー・フース型定理である.
もし,d=0ならば
(r−sR)(r−R/s)=0
となるが,r=R/sは大円と小円が逆転するのでr=sR.また,s<1/sより,rはd=0のとき最大値sRをとる.
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