■曜星とアルベロス(その31)
アルベロスの円列の中心は楕円上にあることが知られている。メビウス変換を使ってその軌跡を求めてみたい。
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【1】接円定理と反転法
1次分数変換(メビウス変換)
w=(az+b)/(cz+d)
は円を円に変換する.(この変換は円は円に移り,直線も円へ移るという性質を併せもつ.)
メビウス変換
w=f(z)=(az+b)/(cz+d)
は複素数球面上で考えると1つの回転に対応していて,たとえば,数zを
(z−1)/(z+1)
に置き換えるには,北極と南極が赤道のところにくるように球を90°回転させればよい(0を−1に,1を0に,∞を1に移す座標変換).この写像は等角写像になる.
また,[0,i,−i]を[1,−1,0]に移す変換は
w=−(z+i)/(3z−i)
となるが,少しだけ補足しておきたい.
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【2】シュタイナーの定理におけるメビウス変換
シュタイナーの定理は最初の2円が同心円になるような反転を考えると容易に証明できる.
1=(a+b)/(c+d)
−1=(−a+b)/(−c+d)
α=b/d
を解くと
w=(z+α)/(αz+1)
は半径1の円板をそれ自身に移し,[−1,0,1]はそれぞれ[−1,α,1]に移されることがわかる.(円板の中心が円板の中心に移されるわけではない).
メビウス変換
w=(z+α)/(αz+1)
の逆変換は
z=(−w+α)/(αw−1)
であるが,一般には
w=(az+b)/(cz+d)
の逆変換は
z=(dw−b)/(−cw+a)
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【3】シュタイナーの円
シュタイナーは反転法によって,鎖の間の連結する小円の半径やはじめの2つの円の中心間距離などの条件を求めた.
メビウス変換
w=(z+a)/(az+1)
したがって,w=0に写されるのはz=−a.z→∞に対する極限は1/a.z→−1/aに対する極限は∞.すなわち,z=−aは0に写り,z=−1/aは∞に写る.ゆえに,w平面の原点を通る直線はz=−aとz=−1/aを通る円の像である(−1<a<0).
円の中心は,x=−(a+1/a)/2上にあるから,
(x+(a+1/a)/2)^2+(y−y0)^2={(a−1/a)/2}^2+y0^2
また,その逆変換は
z=(−w+a)/(aw−1)
であるから,z=0に写されるのはw=aである.w→∞に対する極限は−1/a.w→1/aに対する極限は∞.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
他方,原点を中心とする同心円|w|=kは
|(z+a)/(az+1)|=k
で定義される円の像である.これはz=−aとz=−1/aの2点を極限点とするアポロニウスの円である.つまり,z=−aとz=−1/aの2点からの距離の比が一定な点の軌跡である.
|(z+a)/(az+1)|=|(z+a)|/|(az+1)|=|(z+a)|/|a||(z+1/a)|=k
より,2点
(−a,0),(−1/a,0)
からの距離の比が|a|k:1のアポロニウスの円となる.
(x+a)^2+y^2:(x+1/a)^2+y^2=a^2k^2:1
(x−a(1−k^2)/(1−a^2k^2))^2+y^2={k^2(1−a^2k^2)+a^2(1−k^2)^2}/(1−a^2k^2)^2
こうして,w=0を通る直線は(y軸に平行な直線上に中心をもつ)z=−a,z=−1/aを通る円に,|w|=kはその円に直交する円となる.このような円の族が作る図形を2点−aと−1/aで決まるシュタイナーの円という.
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