■行列式の計算(その19)
[参]細矢治夫「トポロジカル・インデックス」日本評論社
[参]一松信「高次元の正多面体」日本評論社
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【1】特性多項式とスペクトル
グラフGが与えられたとき,特性多項式は隣接行列Aを用いて
PG(x)=(−1)^ndet|A−xE|
で定義される.
PG(x)=0
の解(固有値)をそのグラフのスペクトルという.
経路グラフと単環グラフの特性多項式の零点は,それぞれ
x=2cos(kπ/(n+1))
x=2cos(2kπ/n)
と非常にきれいな形になる.後者はの場合,±2以外の貝はすべて2重に縮重している.
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【2】正多面体グラフと特性多項式
正多面体は単環ではないので,特性多項式を求めるのは大変であるが,結論をいうと
[1]正四面体:PG(x)=x^4−6x^2−8x−3
零点:3,−1,−1,−1
[2]立方体:PG(x)=x^8−12x^6+30x^4−28x^2+9
零点:±3,±1,±1,±1
[3]正八面体:PG(x)=x^6−12x^4−16x^3
零点:4,0,0,0,−2,−2
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【3】正多面体の基本行列の固有値
正多面体(p1,p2,・・・,pn-1)について,
ci=cos(π/pi)
とおいて,対角線上に0,その両隣にciを並べて,基本行列
[0,c1 ,0,・・・・・・・,0]
[c1 ,0,c2 ,0,・・・・,0]
C=[0,c2 ,0,c3 ,0,・・,0]
[・・・・・・・・・・・・・・・・]
[0,・・・・・・・・,0,cn-1 ]
[0,・・・・・・,0,cn-1 ,0]
を作る.基本行列は対称な三重対角行列となる.
固有多項式を
Pn(x)=det|xE−C|
とおくと,漸化式
Pn+1(x)=xPn(x)−cn^2Pn-1(x), n≧2
P1(x)=1,P2(x)=x^2−c1^2
が成り立つ.
基本行列の固有値,すなわち,Pn(x)=0の根を求めてみると,すべて実単根で,相隣る根の間にPn-1(x)=0の根がある.また,根は原点について対称である.
3次元正多面体(p,q)については,
x^3−[cos^2(π/p)+cos^2(π/q)]x=0
[1]正四面体:P3(x)=x^3−1/2x
零点:0,±1/√2
[2]立方体:P3(x)=x^3−3/4x
零点:0,±√3/2
[3]正八面体:P3(x)=x^3−3/4x
零点:0,±√3/2
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n次元正多面体については
[1]正単体:Pn(x)=Un(x)/2^n
零点:cos(kπ/(n+1)),k=1〜n
最大固有値:cos(π/(n+1))
[2]立方体:Pn(x)=Tn(x)/2^n-1
零点:cos(kπ/2n),k=1,3,5,・・・,2n−1
最大固有値:cos(π/2n)
[3]正軸体:Pn(x)=Tn(x)/2^n-1
零点:cos(kπ/2n),k=1,3,5,・・・,2n−1
最大固有値:cos(π/2n)
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