■対数と計算尺(その15)

 a・b=cが成り立つとき,

  loga+logb=logc

 この対数の性質を利用して,かけ算・割算を行う道具が計算尺である.かつては三角関数の計算も計算尺で行われていたのであるが,いまでは実物はおろか名前すら聞いたことがない人という人が大半であろう.

 計算尺の元祖は,1620年にイギリスの天文学者ガンターが考案した「ガンター尺」である.2本の尺を滑らせる形にしたのは数学者オートレッドである.また,1850年頃にフランスのマンハイムがカーソルのついた現在の形をを完成させたという.

 なかでも最高級品として世界中で高い評価を受けたのが「ヘンミ計算尺」である.日本は湿気が多いから,桜,黄楊,マホガニーなど木を使ったものは狂いが出てくる.そこで,孟宗竹が反らないように合板にしたのである.精度は3−4桁という.

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